【地域金融機関向け】 中小企業のDX支援を支えるプラットフォーム “DXSTAR for Bank” の開発支援
株式会社NTT DXパートナー様(以下、NTT DXパートナー様)は、中小企業に向けたDXコンサルティングやDXの実装、推進支援を行なっている企業です。この度、NTT DXパートナー様がDX支援のナレッジとソリューションを汎用化した地域金融機関向けのDXプラットフォームをリリースするにあたり、アジアクエストがWebシステム開発を支援しました。
Background & Purpose 導入の背景と目的
中小企業のDXにおける課題を 地域金融機関から解決するプラットフォーム
中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への関心が高まる一方で、リソースやノウハウの不足により、DX化への対応が遅れている企業も少なくありません。こうした状況を踏まえ、NTT DXパートナー様は、中小企業との長年にわたる取引を通じて信頼関係を築き、その内部事情にも精通している地域金融機関をDX推進の起点とすることで、中小企業におけるDX化の加速が可能になるのではないかという視点に着目しました。しかし、地域金融機関もDXに関する知見や体制が十分でないケースが多く、DX推進が困難な企業の支援を担う仕組みづくりが不可欠でした。 そのため、NTT DXパートナー様は、地域金融機関が地域企業のDXを伴走支援できる仕組みとして「DXSTAR for Bank」の開発を構想され、アジアクエストにシステム開発のご依頼をいただきました。
Role 役割
システム開発と並行してSE育成支援も実施
本システム開発において、アジアクエストはゼロベースからのプロダクト立ち上げに参画しました。
アジアクエスト東京本社と、インドネシア支社間でクロスボーダー体制を構築し、アジャイル開発手法を取り入れて2週間単位のスプリント(開発サイクル)でプロジェクトを推進。 1回目のスプリントの時点から密な要件調整と柔軟な対応が必要とされる中、継続的に機能を実装していきました。 また、プロジェクト初期より、将来的な内製化を視野に入れたSE育成支援も並行して実施。日々の定例やレビュー、テスト設計・運用を通じて、単なる受託に留まらない“共創”の姿勢で伴走を続けています。
プロジェクト体制
インフラはAWSを採用
本システムは、AWS(Amazon Web Services)上に構築されたマイクロサービスアーキテクチャを採用しており、ECS※1(Fargate(※2))を中心に複数のサービスを自動スケーリングで運用しています。 ユーザーアクセスはRoute 53(※3)やCloudFront(※4)を経由し、ALB(※5)を通じて各サービスへルーティング。CI/CD(※6)はGitHub(※7)からCodePipeline(※8)を通じてECR(※9)へデプロイされ、CloudWatch(※10)やSNSを用いた監視・通知体制も整備。セキュリティや可用性を考慮した、エンタープライズ向けの堅牢な構成です。
ECS(イーシーエス) 「Amazon Elastic Container Service」の略称。 AWS(Amazon Web Services)上でコンテナ化されたアプリケーションを効率的に管理・運用できるサービス。
Fargate(ファーゲート) ECSとEKS(Amazon Elastic Kubernetes Service)と連携して動作するコンテナ実行エンジン。インフラ管理が不要。
Route 53(ルートフィフティースリー) AWSが提供するDNS(Domain Name System)サービス。DNSとは、ドメイン名とIPアドレスを紐づけて管理するシステムのこと。
CloudFront(クラウドフロント) AWSが提供する、コンテンツ配信を高速化するサービス。
ALB(エーエルビー) 「Application Load Balancer」の略称。AWSが提供するロードバランシングサービス。Webサイトへかかる負荷を分散する。
CI/CD(シーアイ・シーディー) 「Continuous Integration / Continuous Delivery」の略称。 CIは自動的にテストを行なってバグを早期発見するプロセス、CDは自動的に本番環境にデプロイするプロセスを指す。
GitHub(ギットハブ) ソースコードを管理・共有するサービス。
CodePipeline(コードパイプライン) AWSが提供するCI/CDのサービス。 GitHubなどにコードの変更がプッシュされることがトリガーとなり、自動化されたワークフローが起動する。
ECR(イーシーアール) 「Amazon Elastic Container Registry」の略称。コンテナイメージを保存・管理・デプロイできるサービス。
CloudWatch(クラウドウォッチ) AWS上で提供されるサービスを監視するサービス。
<システム概要>
オウンドメディア
カテゴリ・ランキング・検索機能を活用して、DX推進に役立つ多様な記事に迅速にアクセス。 理解を深め、実践や課題解決に結びつけます。
イベント
オンライン・オフラインのイベントを通じて企業同士の学び合いと交流を促進。 NTT DXパートナー様のノウハウを活かし共創型コミュニティの形成と運営を包括的に支援します。
DX診断
DX診断で現在の成熟度を定量・定性的に可視化。 組織の強み・弱みを明確化し、最適な戦略設計と支援サービスの提案に活用できます。
支援サービス
金融機関が提供するDX・経営支援策を中小企業向けに分かりやすく紹介。 診断結果と連携し、課題に応じた最適な支援サービスを提案します。
オンラインコミュニティ
イベントでの出会いや学びをオンラインでも継続。 チャットやリアクション機能で交流を促し、DX推進者同士が学び合える実践的な場を提供します。
Brand Experience 導入による効果
DX支援を起点とした企業価値の共創と 地域金融機関の進化
DX支援を通じた企業との関係強化
取引先企業への継続的な支援により、信頼と顧客満足度が向上。
金融機関の競争力向上
企業成長の伴走支援により、地域内での存在感を強化。
非金融サービスによる新たな収益機会の創出
従来の枠を超えたサービス提供によって、金融以外の付加価値を提供。
「企業コミュニティ」構築による渉外活動の高度化
地域内企業間の学び合いと連携を促し、金融機関の情報提供・関係構築がより効率的に。
Outlook for the future 今後の展望
地域経済全体のデジタル化を促進する
今後は、エンドユーザーからの具体的な要望やフィードバックをもとに、より実用的で価値の高い機能の拡張を推進してまいります。検討中の方針としては、業務プロセスのさらなる効率化や、地域金融機関をはじめとする金融機関との連携を強化するための新機能の追加などが挙げられます。 また、現在契約している金融機関の数を段階的に拡大し、より多くの金融機関が本システムを導入できる環境を整えることで、金融機関を通じた中小企業へのDX支援の基盤が広がり地域経済全体のデジタル化促進にも貢献することが期待されます。
今後もNTT DXパートナー様と連携しながら、地域企業のDX支援を強化し中小企業向けの新たなDX推進プロジェクトの創出へとつなげてまいります。
Testimonial お客様の声
本システムご利用中のお客様のご感想
初めての自社開発製品となる、金融機関向け企業DX支援プラットフォーム「DXSTAR for Bank」の開発において、アジアクエスト様には多大なご支援をいただきました。 特に印象的だったのは、そのスピード感と柔軟な対応力です。仕様変更にも素早く対応いただき、日程調整などの実務面でもスムーズに進行できたのは非常にありがたかったです。 アジアクエスト様は当社のビジネス状況を意識した開発進行を徹底しており、技術的な実現可能性を踏まえながらも、常にユーザー目線での提案・実装を進めてくださいました。アジャイル開発のスタイルにも、柔軟かつスピーディーにフィットしてくれた点も心強かったです。 当初は、社内にエンジニアチームがいない状況で、どのような体制で協力いただけるのか不安もありました。また、単に開発を請け負うのではなく、ビジネス視点も含めて一緒にサービスを成長させていけるパートナーを探していた中で、アジアクエスト様が伴走してくださったのは大変心強かったです。 今後も、さらなる機能改善を通じて、よりユーザーにとって使いやすいサービスを一緒に作り上げていけたらと考えています。
地域企業支援事業部 プロダクトマネージャー 徳嶺あかり