株式会社TMJ様は、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)パートナーとして、コンタクトセンター、バックオフィス業務、人材派遣など多岐にわたる事業を展開しています。このたび、コールセンター運用における オペレータから管理者へのスムーズな顧客対応引き継ぎ(エスカレーションプロセス)を実現するため、工数管理システムの開発実績を持つアジアクエストに開発を依頼しました。
Background & Purpose 導入の背景と目的
コールセンターの課題、効率的なエスカレーションプロセスの必要性
株式会社TMJ様が受託しているコールセンターでは、 オペレータと管理者が同じフロアで業務を行っています。一般的な問い合わせは オペレータが対応し、難易度が高いクレームや複雑な問い合わせは管理者が引き継ぎます。
これまで、 オペレータが顧客との通話中に手を挙げること(手挙げ)で管理者へ引き継ぎを要請する仕組みでしたが、管理者の見落としや、複数のオペレータからの同時要請による優先順位付けの難しさなどの課題があり、より効率的なシステムの導入が求められていました。
Role 役割
要件定義、設計、システム開発、保守までアジアクエストが一貫して対応
アジアクエストは、システムの仕様を決めるにあたって、まずはお客様との打ち合わせと現場ヒアリングを行いました。その中で、オペレータや管理者が他の作業と並行して本システムにアクセスしやすいことが重要と考え、Web上で動作するシステムを提案、要件定義から設計、開発、そして保守に至るまで一貫して対応しました。さらに、効率的な作業環境を確保するため、他のアプリケーションとの同画面表示ができるよう、シンプルで小さなウィンドウサイズでも利用可能なデザインを採用しています。
「手挙げシステム」主な機能
実装した主な機能は以下になります。
オペレータと管理者で利用用途が異なるため、それぞれの権限で画面と機能を分けて作成しました。
オペレータ側
- 管理者へ引き継ぎ要請の通知
- 対応内容のカテゴリボタンを押下、管理者へ引き継ぎ要請の通知を発信
管理者(管理業務)側
- 引き継ぎ要請状況の可視化
- 座席図と引き継ぎ要請状態を連動、内容の優先度に応じて座席色が変化
- オペレータの引き継ぎ要請履歴
- 対応時間/内容/傾向データを蓄積し履歴の閲覧が可能
- 管理者対応記録
- 引き継ぎ要請対応完了後、管理者が内容を記録
インフラは多拠点への導入を考えAWSを採択
本システムの導入は複数拠点となるため、インフラはパブリッククラウド化を実現できる、かつ、アジアクエストが多数の実績を持つ「AWS(Amazon Web Services)」を採択しました。
バックエンドシステムから各現場を登録することで、本システムを各拠点に導入できるようにしています。
担当者が引き継ぎ要請のボタンを押すとステータスデータがAWS Auroraに格納され、管理者へ依頼が通知されます。全システムの引き継ぎ要請及び対応のデータがAWS Auroraへ一元的に格納されており、現場やエリアごとのフィルタをかけると、指定した条件でデータを抽出することが可能です。
AWS FargateとAWS AuroraはAZ(アベイラビリティーゾーン)を分けて2つ設置し、災害時やトラブルに対応できるよう冗長化しました。
開発者が遠隔地から本番環境に入れるようEC2を踏み台とし、AWS CodePipelineとAWS CodeDeployを利用した自動デプロイの仕組みを作ることで本番環境への速やかなシステム変更の反映が可能になりました。
さらにAWS Fargateを利用することでサーバー管理や保守運用の負担を減らしています。
Brand Experience 導入による効果
スムーズな顧客対応、データに基づく分析と改善方法の多様化
オペレータの引き継ぎ要請をシステム化することで以下のような効果が生まれました。
- 管理効率の向上
- 管理者が要請を見落とすことなく適切な優先順位で顧客対応ができるようになり、 迅速かつ効率的な意思決定が可能に。
- 顧客満足度の向上
- 対応時間や件数などの引き継ぎ依頼の内容がデータ化され、 派遣先への受電や架電の対応報告がより具体的に行えるようになり、顧客満足度が向上。
- 対応傾向の明確化
- エリアや案件ごとに顧客からの問い合わせ対応の傾向がデータとしてまとめられ、 対応内容が明確になりました。
- 運用方法の多様化
- 記録データを活用して具体的かつ効果的な改善策を実行できるようになり、 コールセンターの運用方法が多様化。
Outlook for the future 今後の展望
システム利用拡大と在宅勤務者利用への対応
現在一部の現場や案件で導入されている本システムは、今後さらに導入範囲を拡大していき、将来的には株式会社TMJ様のコールセンター業務の汎用的なシステムとして、お客様先のコールセンターへ広く導入していただくことを目指しています。
また、オペレータ・管理者の在宅勤務者増加に合わせて在宅利用対応も検討していきます。
Testimonial お客様の声
システム利用中のお客様から寄せられた声をご紹介します。
◾️株式会社TMJ様
-今まで、ぼんやりとしていた情報(エスカレーション)が明確になり、報告・改善業務のレベルが向上できました。
-リアルタイムの状況が整理されたことで、運営管理がしやすくなりました。
-改善業務における対策の選択肢が増えたので、課題に対して柔軟に対応できるようになりました。
◾️派遣先コールセンターのお客様
-報告内容の精度が上がり、納得感が増しました。