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AIエージェントとは?生成AIとの違いや活用例をわかりやすく解説

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AIエージェントとは、人間が設定した目標に向かって自律的にアクションを起こす高度なAIシステムのことです。

AIエージェントを活用すると、人手不足をカバーできたり業務の効率化を図れたりするため、近年注目を集めています。

自社の一員としての活躍が期待できるAIエージェントの特徴や種類、生成AIとの違い、メリット、活用例を解説します。

この記事の目次

AIエージェントとは

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AIエージェントとは、人間が設定した目標に向かって自律的に情報収集や状況理解を行い、達成するためのアクションを起こす高度なAIシステムのことです。

AIエージェントは、AIが自ら意思決定をしたり継続的に学んだりするという特徴を持ち、従来のAIでは難しかった複雑なタスクも処理できます。

LLM(大規模言語モデル)に関する記事はこちら

生成AIとの違い

AIエージェントと生成AIは、どちらもAI技術であるという点は同じですが、役割や活用方法に違いがあります。

AIエージェントは、タスクや業務の自動化に向いているシステムで、自律的に判断しながら人間が定めた目標達成を目的に機能します。活用範囲は幅広く、汎用性にも優れています。

一方の生成AIは、人間が指示したことに対し新たなコンテンツを生成するのに特化しています。「テキスト生成」「画像生成」など特定の分野で活用されるため、専門性が高いのが特徴です。

AIエージェントと生成AIの違いを下表にまとめました。

  AIエージェント 生成AI
目的 タスクを実行し、目標を達成する 新たなコンテンツを生成する
活用範囲 自律的に機能するため、汎用性が高い 特定の分野におけるタスク処理に特化
活用方法 人間が設定した目標に対し、臨機応変に判断しながら目標を達成する 人間が入力したプロンプト(指示)を理解し、アウトプットを返す
活用例
  • 自動運転
  • カスタマーサポート
  • 採用活動など(※詳細は後述)
  • 記事やメール文などのテキスト生成
  • 画像生成
  • 動画生成 など

AIアシスタントとの違い

AIアシスタントとは、人間の音声による指示を受け、タスクを実行するAI技術のことです。

AIアシスタントの活用例として、自動車運転時のルート検索や、スマートフォンやリモコンなどのデバイス操作を音声で行うことが挙げられます。代表的なAIアシスタントとして、「Siri(シリ)」や「Alexa(アレクサ)」と聞くと、わかりやすいでしょう。

AIエージェントとAIアシスタントの違いは、AIエージェントが自律的に複雑なタスクをこなせる一方で、AIアシスタントは人間の指示に対しひとつのタスクしか実行できず、作業も簡単なものしか行えない点です。

AIエージェントの活用状況

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PagerDuty株式会社がアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本のITおよびビジネス部門の幹部1000人を対象として行なったAIエージェントの導入実態に関する調査によると、グローバル平均が51%であるのに対し、日本は32%だったことがわかりました。

総務省の生成AIの利用状況に関する日本、米国、ドイツ、中国を対象とした調査でも、「業務で使用中(※)」と回答した割合は日本が46.8%であるのに対し、ほか3国は7割を超えています。

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※「業務で使用中(効果は出ている)」「業務で使用中(効果は測定中または不明)」の2つを指す

日本において、AIエージェントの先駆けともいえる生成AIの利用率も芳しくない状況は、AI活用に関する世界からの後れが顕著に表れているといえるでしょう。

一方で、現在の日本企業を取り巻く環境によって、近年AIエージェントへの注目が集まっています。

参考:PagerDutyグローバル調査結果(PagerDuty株式会社)
参考:令和6年版 情報通信白書の概要(総務省)

AIエージェントが注目される背景

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AIエージェントが注目される背景として、次の3つが挙げられます。

  1. 慢性的な人手不足
  2. 複雑な業務の効率化
  3. 顧客ニーズの変化

なぜAIエージェントが注目されているのか、理由を確認しましょう。

1.慢性的な人手不足

日本は少子化の影響で人口が徐々に減少しており、慢性的な人手不足に陥っています。内閣府の公表によると令和5年(2023年)10月時点での15~64歳の人口は7395万人ですが、令和52年(2070年)には4535万人にまで減少すると予測されています。

image11出典:令和6年版 高齢社会白書(全文)(内閣府)

企業にとって、人手不足は業務の停滞や新たな事業展開の阻害につながるため、人間のように働いて人手不足をカバーできるAIエージェントの必要性が高まっています。

2.複雑な業務の効率化

長年の慣習や業務のブラックボックス化によって、業務が複雑化しているケースがあります。複雑な業務は担当者の負担となったり属人化につながったりして、企業の生産性を低下させる可能性が高いです。

そのため、業務効率化や生産性向上を目指して、タスクや業務を自動化できるAIエージェントが注目を集めています。

3.顧客ニーズの変化

IT化やグローバル化、新型ウイルスの蔓延などによって、現代のビジネス環境はめまぐるしく変化しています。

環境の変化に合わせて顧客ニーズも変化し続けており、企業は既存の経営方針や事業を維持するだけでは時代の流れに対応できず、顧客離れを引き起こすかもしれません。

企業が安定して経営を続けるには顧客から選ばれ続けることが重要なため、顧客に対し、パーソナライズされた商品やサービスを提案したり、質問へ迅速に答えたりして、有意義な体験を提供できるAIエージェントの活用が注目されています。

AIエージェントの構成要素

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AIエージェントを構成している要素は、大きくわけると次の4つです。それぞれの要素が連携することで、適切な動作が可能になります。

  1. 環境認識機能
  2. センサー機能
  3. 意思決定メカニズム
  4. アクチュエータ

各要素について解説します。

1.環境認識機能

環境とは、AIエージェントが情報収集や意思決定をするために必要となる物理的な空間・状況のことです。

例えば、家電をインターネットに接続し、音声やスマートフォンの操作で実行できる「スマートホーム」の場合、実行に必要なスマートフォンやリモコンなどのデバイスと接続しているという状況の認識が、環境認識機能です。

2.センサー機能

センサーとは、AIエージェントが環境から情報を取得するツールのことで、リアルタイムでの状況把握を可能とします。

スマートホームにおけるエアコンを例とした場合、温度や湿度のセンサー、人感センサーが挙げられるでしょう。センサーによって、気温や湿度の高低、人の有無などを認識します。

3.意思決定メカニズム

収集したデータを基に、AIエージェントが機械学習アルゴリズムによって、自動で最適なアクションを選択します。

機械学習アルゴリズムとは、データから学習するプログラムのことです。例えばエアコンの場合、室内が冷えている場合には温度を上げる、暑い場合は温度を下げるなど、学習した適温になるように意思決定します。

4.アクチュエータ

アクチュエータとは、アクションを起こすための手段を意味します。AIエージェントは意思決定した選択を実行するために、ロボットの場合はアームを動かす、エアコンであれば空調を制御するなどの行動に移ります。

アクチュエータを含む各要素の連携が、タスクの実行に欠かせません。

AIエージェントの仕組み

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AIエージェントは、下記3つのステップで目標達成や機能向上を果たします。

  1. 目標設定
  2. 情報取得とタスク実行
  3. 反復学習

AIエージェントがどのように機能するのか、仕組みを解説します。

1.目標設定

AIエージェントは、人間が定義した目標を受け取ることで、自律的に機能します。

設定された目標から、最適な結果を最終的にユーザーへ提供できるように計画を立て、小さなタスクに分割し、特定の条件やフローに従って実行していきます。

タスクが単純な場合、計画を立案せずに実行することも可能です。

AIエージェントが適切に意思決定するには、目標だけでなく、前述の「環境」要素も必要です。

2.情報取得とタスク実行

AIエージェントは、タスクを実行するために情報収集を行います。

意思決定に必要な知識を集めようと、インターネット検索やAPIの使用、外部のエージェントとの連携などを実施して、自身にない知識を補完し、タスクの実行に移ります。

AIエージェントは、タスクが完了するまでに、外部からのフィードバックや自身のログから目標を達成したかを評価したり、追加で必要なタスク作成と処理を行なったりします。

3.反復学習

タスク完了後は、タスクを削除して次のタスクへ移行する一方で、反復学習してパフォーマンスを向上させるのも、AIエージェントの仕組みのひとつです。

AIエージェントは収集し、学習した情報をフィードバックとともにデータとして保存することで、機能の精度向上を図ります。

反復的な学習と改良の繰り返しによって、同じミスをしない、より最適化されたアウトプットを出せるAIエージェントになります。

AIエージェントの6つの種類

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AIエージェントには6つの種類があります。

  1. 単純条件反射型エージェント
  2. モデルベース条件反射型エージェント
  3. 目的ベース型エージェント
  4. 効用ベース型エージェント
  5. 学習型エージェント
  6. 階層型エージェント

上記のように分類されていても、AIエージェントの多くは複数の種類の組み合わせで機能していることを理解しておきましょう。

それぞれの特徴や活用例をご紹介します。

1.単純条件反射型エージェント

単純条件反射型エージェントは、事前に定められたルールや条件を満たしていた場合にタスクを実行するAIエージェントです。

内部メモリがなく、情報が欠落していても外部エージェントと連携しないため、AIエージェントの想定外のことが起こると適切に対処できません。単純なタスクに向いているAIエージェントといえるでしょう。

【活用例】

  • 人が前にいることを感知して開く自動ドア
  • 特定のキーワードで反応するチャットボット
  • 毎日17時に暖房がオンになるサーモスタット機能

2.モデルベース条件反射型エージェント

モデルベース条件反射型エージェントは、内部メモリを有しており、過去の経験や現状から最適な意思決定を行えるのが特徴です。

単純条件反射型エージェントと同様に「反射型」ではありますが、モデルベース条件反射型エージェントのほうが環境要素から収集するデータによって常時更新され、状況の変化に対応できるため、より高度なタスクを処理できます。

【活用例】

  • 住環境を把握し、障害物に当たらないように清掃するロボット掃除機。自らが清掃したエリアも記憶して、同一場所の掃除を繰り返さない。
  • リアルタイムの道路状況によって運転を制御する自動運転車
  • 天気や時間帯による屋外の明暗に合わせて自動で調整する照明システム

3.目的ベース型エージェント

目的ベース型エージェントは、設定された目標を達成するために適切なアクションを起こすAIエージェントのことです。

目標達成に向けて、収集した情報を活用し戦略的な計画を立てたりアプローチ方法を比べたりする目的ベース型エージェントは、より高い推論機能を有しています。

【活用例】

  • 目的地までの最短ルートを提案するナビゲーションシステム
  • タスクやスケジュールの割り振りをする管理システム
  • 部屋の掃除に合わせて回転するタイミングなどを考えるロボット掃除機

4.効用ベース型エージェント

効用ベース型エージェントは、目標達成と併せて、より効果的な選択によってユーザーの満足度を最大化させることを重視しています。

目標を達成できる複数のシナリオのなかから、最適なシナリオを選びたいときに活用できるAIエージェントです。

【活用例】

  • 目的地までの走行に関して「燃費がよい」「通行料が安い」「渋滞回避」などの基準から最適なシナリオを示すナビゲーションシステム
  • 金融取引において、リターンが最大のとき、または損失が最小のときに自動で売買するトレーディングボット
  • ユーザーにおすすめコンテンツを示してくれる動画配信サービス

5.学習型エージェント

学習型エージェントは、経験から継続的に学習して自己改良を繰り返すため、時間が経つほど精度が向上します。

学習機能によって進化するという特徴から、学習型エージェントは進化を要する環境で活用されるケースが多いです。

【活用例】

  • 進化する犯罪手口に対応し続けるセキュリティシステム
  • 多様な話し方や言葉を理解する音声認識システム
  • ゲームにおいて、プレイデータを学習し人間を上回ることもあるAIプレイヤー

6.階層型エージェント

階層型エージェントは、上位エージェントと下位エージェントが階層上に配置されており、人間社会の組織のように成り立っているのが特徴です。

上位エージェントは、タスクを分割して下位エージェントに仕事を割り振り、もたらされた結果から、目標達成できるように最適化を図ります。

複数のエージェントを活用する階層型エージェントは、規模の大きい複雑なタスクの処理に向いているでしょう。

【活用例】

  • 上位エージェントが計画管理、下位エージェントがロボットの制御をする製造システム
  • 上位エージェントが「目的地までの安全な移動」という目標管理、下位エージェントが車線維持などの車体のコントロールをする自動運転車
  • 上位エージェントが広域の交通を管理し、下位エージェントが空港ごとの離着陸などを管理する航空管制システム

AIエージェントの特徴

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AIエージェントには、次のような7つの特徴があります。

  1. 自律性がある
  2. 継続的に学習する
  3. タスクを自動化できる
  4. 変化へ迅速に適応できる
  5. 汎用性が高い
  6. ほかのAIエージェントと連携できる
  7. ノーコード・ローコード構築にも対応している

どのような特徴があるのか確認しましょう。

1.自律性がある

AIエージェントは、収集した情報や経験などを活用して意思決定を行うという自律性があるのが特徴です。

事前に定められたルールに従いながらも、人間のように状況やデータから考え、適切な判断を下せます。

2.継続的に学習する

AIエージェントは、継続的に学習し、パフォーマンスを向上させることが可能です。過去の経験から学び、ミスの再発を防ぐでしょう。

また、継続的な学習によって最新技術やデータを収集できるため、より適した答えのアウトプットやタスクの実行につながります。

3.タスクを自動化できる

AIエージェントを活用すると、タスクを自動化できます。例えば、前述の「単純条件反射型エージェント」のように、特定の条件で自動的にアクションを起こさせることが可能です。

業務において、繰り返しの作業や大量のデータ処理が必要な際に、タスクを自動化できるというAIエージェントの特徴を役立てられるでしょう。

4.変化へ迅速に適応できる

AIエージェントは、環境要素や最新のデータから、変化へ迅速に適応できるという特徴があります。

目標達成に向けた適応能力の高さによって、例えば、室内の状況の変化を学習し、家具にぶつからずに掃除できるロボット掃除機のようなパフォーマンスを実現できます。

5.拡張性が高い

AIエージェントは、拡張性(スケーラビリティ)に優れており、ビジネスやシステムの規模が変化しても安定して活用できるのが特徴のひとつです。

例えば、繁忙期などで大量の問い合わせが来たとしても、AIエージェントが通常時と同様に高いパフォーマンスを発揮しながら対応してくれるため、人的リソースを追加する必要がありません。

6.ほかのAIエージェントと連携できる

単独でも活用できるAIエージェントですが、複数のAIエージェントで構成されている「マルチエージェントシステム(MAS)」の一部として、ほかのAIエージェントと連携しながらタスクに取り組むケースもあります。

前述の階層型エージェントがマルチエージェントシステムとして挙げられ、大規模プロジェクトなどでは各AIエージェントを連携させることで業務の円滑化を図れるでしょう。

7.ノーコード・ローコード構築にも対応している

AIエージェントのツールやサービスのなかには、ソースコードを書かない「ノーコード」や、ソースコード量が最小限の「ローコード」の構築に対応しているものもあります。

従来のシステム開発では、コンピューターが行う処理をソースコードで記述する必要があり、開発までに時間がかかったり対応できる人材確保が求められたりしました。

一方、ノーコードやローコードの場合は、業務効率化やコスト削減につながるほか、プログラミングスキルがなくてもスムーズに構築できるため、AIエージェント導入のハードルが下がります。

AIエージェントを活用する5つのメリット

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AIエージェントを活用すると、5つのメリットを得られる可能性があります。

AIエージェントを活用するメリットは、次のとおりです。

  1. 業務を効率化できる
  2. 人材不足をカバーできる
  3. 顧客満足度を高められる
  4. 高度なデータ分析ができる
  5. 人的ミスやトラブルの削減につながる

1.業務を効率化できる

AIエージェントを活用すると、タスクの自動化や処理の迅速化が可能となるため、業務効率化できるメリットがあります。業務をスムーズに行えれば、生産性の向上も期待できるでしょう。

また、AIに仕事を任せることで、訪問による営業活動や人材育成など、人間にしかできない業務に注力でき、企業の成長や組織力の強化にもつなげられます。

2.人材不足をカバーできる

日本は少子化の影響で慢性的な人手不足に陥っています。多くの競合が人材を確保しようと活動しており、競争が激しいなかで求める人材を得るのは容易ではありません。

AIエージェントを活用すれば、人間の代わりにAIが仕事をしてくれるため、人材不足のカバーが可能です。人件費や採用コストの削減にもつながり、浮いたリソースをより重要な事業へ活用できるでしょう。

3.顧客満足度を高められる

AIエージェントは、24時間365日稼働できるため、ライフスタイルが異なるさまざまなユーザーの満足度を高められます。例えば、カスタマーサポートにAIエージェントを活用した場合、自社の営業時間外にしか時間が取れないユーザーからの質問にも答えられ、課題解決が可能です。

また、AIエージェントがユーザーの行動履歴などからパーソナライズされた商品を提案すると、ユーザーは自分に適した商品を探す手間が省けます

社員のひとりとして休みなく働いてくれるAIエージェントは、顧客の満足度を高め、リピーターの増加や新規顧客獲得を促進させるでしょう。

4.高度なデータ分析ができる

AIエージェントは、リアルタイムデータや人間では難しかったビッグデータの正確かつ迅速な分析が可能です。

高度なデータ分析機能は、効果的な事業戦略やプロジェクト立案、最適な意思決定を実現できるため、市場における自社の競争優位性を高められる可能性があります。

5.人的ミスの削減につながる

人間が作業をすると、体調不良による集中力の低下などによって人的ミス(ヒューマンエラー)が起こる恐れがあります。状況によっては、大きなトラブルとなり経済的な損失を生むかもしれません。

一方のAIエージェントは、人間のように疲れや体調不良を感じないため、ミスが生じにくいです。目標達成へ向けて自律的に機能するという特徴も、人間の力を借りない点で、人的ミスを抑えられるでしょう。

AIエージェントの課題

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多様なビジネスシーンで活かせるAIエージェントですが、活用には課題があります。

  1. 高度な技術が必要
  2. セキュリティ・プライバシー問題
  3. AIに対する信頼性

AIエージェントの活用によってネガティブな状況を招かないように、注意点を事前に把握しておきましょう。

1.高度な技術が必要

高性能のAIエージェントの活用には、導入する際に多額のコストがかかったり、専門的な経験や知識、技術が求められたりします。

また、AIエージェントが適切に機能するように、学習させるデータの収集・管理や、既存のAIを再訓練する「ファインチューニング」の実施、定期的なメンテナンスも必要なため、人的・時間的コストもかかるでしょう。

AIエージェントの効果を高めるには、AIに関する専門知識やスキルを持つAI人材の力を借りたり、全社的にITリテラシーを向上させたりすることが望ましいです。

AIエージェントの活用が軌道に乗るまでは困難に感じるかもしれませんが、日本の現状やAIエージェントのメリットを考えると、活用することで将来的に企業のプラスになるでしょう。

2.セキュリティ・プライバシー問題

AIエージェントは、サイバー攻撃を受けるリスクがあります。AIエージェントに学習させるデータには機密情報や個人情報が含まれるケースもあるため、不正アクセスによって情報が漏洩し、甚大な被害をもたらすかもしれません。

セキュリティリスクを軽減するには、アクセス権限を設けたり不必要な機密情報の入力を避けたりすることが大切です。また、セキュリティツールの導入やAIエージェントの定期的な監視も求められます。

AIエージェントに関する研修を実施して、自社のAIエージェント活用のルールやセキュリティリスクを周知し、従業員の意識を高めておくことも、リスク軽減につながります。

3.AIに対する信頼性

AIは、自分がわからないことをさも正しいことのように伝えてしまう「ハルシネーション」を起こす恐れがあります。例えば「日本と地続きの国はどこですか?」という問いに対し、日本は島国であるにも関わらず「アメリカ」などと答える現象がハルシネーションです。

日本語で「幻覚」を意味するハルシネーションは、AIを活用しているAIエージェントでも起こりえます。「画像生成」などひとつのタスクしか処理しない生成AIと異なり、AIエージェントは一連の業務を処理するため、ハルシネーションが起こると広範囲に悪影響を及ぼし、深刻なトラブルを招くリスクがあります。

ハルシネーションが起こるのは、学習データの不足や情報の偏り、正確性の欠如、AIモデルの特性などが原因です。ハルシネーションを完全になくすことは難しいため、学習データの質を高める、アウトプットされた内容の正誤を見極めて活用するなどの対策を施しましょう。

AIエージェントの活用例10選

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具体的に、AIエージェントがどのような業務で活用できるのかをご紹介します。

自社に関わりのある業務であれば、AIエージェントを活用すると人手不足のカバーや業務効率化を図れるでしょう。

  1. 開発業務
  2. カスタマーサポート
  3. 採用活動
  4. バーチャルアシスタント
  5. 自動運転
  6. 物流・製造現場サポート
  7. 営業活動
  8. ヘルスケア
  9. 自然災害への対応
  10. 社内サポート業務

1.開発業務

AIエージェントは、ソフトウェア開発に活用できます。

AIエージェントが自分でコード生成、テストの実行、エラーの修正を行うため、開発スピードを上げられるでしょう。また、コードレビューや、コードの内容からドキュメント作成も可能で、質の向上や業務効率化にもつながります。

2.カスタマーサポート

カスタマーサポート業務におけるAIエージェントの活用例は、顧客からの問い合わせに24時間365日対応してくれるチャットボットが挙げられます。また、顧客対応中のオペレーターに適切な情報を瞬時に示すサポート業務も対応可能です。

AIエージェントをカスタマーサポート業務に活用すると、顧客満足度を高められたり、オペレーターの負担を軽減できたりします。

3.採用活動

人事担当者や採用担当者は、採用活動にAIエージェントを活かせるでしょう。

例えば、AI面接官として面接の実施や、面接日程の自動調整、内定通知の送付、応募書類の自動スクリーニング、候補者からの問い合わせ対応などが可能です。

採用活動を部分的にAIエージェントへ任せれば、人間はよりコア業務に注力できたり、リソース不足を補えたりします。

4.バーチャルアシスタント

AIエージェントは、バーチャルアシスタントとして秘書のような仕事も任せられます。

スケジュールやメール、タスクの管理、関係者へのメールの作成・送付、与えた情報からレポートの作成など、細かい作業も行えるため、日常の細々とした作業の自動化によって業務効率を高められます。

5.自動運転

信号や車線、障害物、標識など自動車の周囲の状況を認識し、最適なルートを進んだりトラブルを回避したり、自動で速度を調整したりする自動運転には、AIエージェントが活用されています。

自動運転技術は、運転手の負担軽減や交通事故リスクの減少につながるでしょう。

6.物流・製造現場サポート

物流や製造現場のサポート役としても、AIエージェントが活用されています。

例えば、需要を予測して生産計画を立てる、交通状況から配送ルートを最適化する、製品の外観検査の自動化、安全違反の検知と内容のレポート化などが可能なため、事故を防ぎながら生産性の高い業務を実現できます。

7.営業活動

AIエージェントを営業活動に活用した場合、見込み客の抽出や顧客との日程調整、営業資料の作成などを行なってくれるため、営業にかける時間を増やすことができ、売上の向上を図れるでしょう。

ネットショッピングでは、顧客の購入履歴からおすすめの商品を自動で勧め、営業担当のような役割も担います。

8.ヘルスケア

AIエージェントは、医療現場でも活用できます。例えば、治療計画の立案や進捗管理、MRI画像やCTからのガンの検出、患者の症状などから病名診断、医療データや論文を分析して新たな治療法の考案等を行えるでしょう。

AIエージェントが診断や治療のサポートをしてくれるため、医療現場における人手不足のカバーや業務効率化、質の高い医療サービスの提供が可能です。

9.自然災害への対応

AIエージェントは、自然災害が発生した際にリアルタイムで情報を収集して、被災者への避難指示や被害状況等の情報提供を行えます。

例えば、チャットボットに質問するだけで災害に関する情報を得られるため、状況やとるべき行動がわからずにパニックになるという事態を避けられるでしょう。

AIエージェントは自然災害の予測にも活かせており、災害への備えや人命救助に役立てられています。

10.社内サポート業務

社内のサポート業務におけるAIエージェントの活用例として、メールの分類や下書きの自動作成、ツール等のパスワードリセットの対応、社内業務に関する問い合わせへの対応や適任者への伝達などが挙げられます。

AIエージェントによって業務を自動化すると、残業時間を減らせたりノンコア業務の負担から解放されたりして、従業員の働きやすさ向上につながるでしょう。

まとめ

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日本において、AIエージェントの活用は進んでいるとはいえませんが、人手不足の解消や業務効率化の観点から、近年注目を集めています。

リソース不足で顧客からの問い合わせに迅速に対応できない、ノンコア業務にコア業務が圧迫されているなど、業務に課題がある企業は、AIエージェントを取り入れると解決できる可能性があるため、検討することをおすすめします。

自社にAI人材がいないという場合は、AIエージェント活用のプロに任せると、自社の理想に合ったサービスを提案、構築してくれるでしょう。

アジアクエストができること

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アジアクエストはAI/生成AIをお客様のDXに取り入れることに早くから着目し、AIエージェントの利活用にも取り組んでいます。お客様の個別の状況にあわせて、AIエージェントが提案資料を自動で作成、出力してくれたり、設備の異常をロボットやカメラを通して確認した後、その対処方法について人間に意思決定を求めるシステムなど、様々なお客様への提案が可能です。

アジアクエストは、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)に必要なコンサルティングから、デジタルテクノロジーを駆使したシステムの設計、開発、運用までを一貫して伴走支援します。

IoT、AI、Cloud、Mobile、Web、UI/UXの各デジタル分野の専門テクノロジーチームを有し、お客様のゴールに向けて最適なプロジェクトチームを編成します。DXに関する豊富な知見と幅広い技術力により、ビジネスモデルの有効性や技術的な課題を検証する為のPoCの実施やデジタルに対応した大規模なシステムの構築まで、スピーディーな対応が可能です。