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【SAP】2027年問題とは?3つの対応策や取り組みポイントを解説

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2027年問題とは「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年末に終了するにあたって生じる問題のことです。対応策と移行方法を解説します。

「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年末に終了するため、SAP社のERPを利用する企業ではその対応が迫られています。
いわゆる「2027年問題」を解決するには対応策や移行方法を把握し、期限内に自社に適した対応を選択・実行することが大切です。
本記事では2027年問題の概要と3つの対応策、「SAP S/4HANA」への移行方法と取り組みポイントを解説します。

2027年問題とは

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2027年問題とはSAP(エス・エー・ピー)社が提供する「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年末に終了するにあたって、発生しうる問題のことを指します。

サポートが終了したシステムを使うことで新機能が追加されない、セキュリティリスクが高まる、トラブルへ対応できないなどのデメリットが生じ、円滑な業務の妨げとなる恐れがあります。

一方でシステムの移行には多大な労力と時間がかかります。ジャパンSAPユーザーグループの2024年の調査によると、システムの移行についてS/4 HANAを導入中もしくは検討中の企業のうち、「検討中であるが、具体的な計画はない」と答えた企業の割合は35.5%でした。

2027年末というサポート終了の期限が迫るなか、移行に着手できていない企業が一定数存在しています。

参考:S/4HANAへの移行検討状況比較(ジャパンSAPユーザーグループ)

当初は「2025年問題」

当初「SAP ERP 6.0」の標準サポート終了は2025年末を予定していたため、「2025年問題」と呼ばれていました。

現在はサポート期限が2027年末まで延長されましたが、対象となるのは「SAP ERP 6.0」のEhP(エンハンストパッケージ)6以降のみで、それ以前のバージョンのものに関しては2025年末にサポート終了となるため注意が必要です。

なお保守基準料金に2%の追加料金を支払うと保守期限が2028年頭から2030年末までの間は延長ができますが、期限が延びただけの為いずれにしても企業には対応が求められます。

※EhPとは SAP Enhancement Packageの略称です。

2027年問題への3つの対応策

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2027年問題への対応策として、次の3つが挙げられます。

  1. 現行のERPを継続利用する
  2. 他社のERPへ移行する
  3. 「SAP S/4HANA」へ移行する

各対応策について解説します。

1.現行のERPを継続利用する

2027年問題への対応策のひとつとして、現行のERPの継続利用があります。

2027年末に終了するのは「SAP ERP 6.0」のサポートのため、システム自体は2028年以降も利用可能です。

継続利用の場合システム移行の手間などが生じないため、業務を滞りなく進められるメリットがあります。また保守期限の延長措置をとれば、2030年末まではサポートを受けられます。

一方で機能が拡張されない、システムトラブルなどのリスクがあるというデメリットも生じます。保守期限の延長には、有償のサポート延長も必要です。

2.他社のERPへ移行する

SAP製品の利用を中止し、他社のERPへ移行する方法も2027年問題への対応策のひとつです。

最新のERPのなかから自社に適したシステムを選定できる点がメリットとして挙げられます。

一方でSAP製品の利用を中止し他社システムを検討することは、開発から導入まで多大な時間と費用がかかってきます。

前述のジャパンSAPユーザーグループの調査では、保守終了後も約85%の企業が再度SAP製品を検討しているという回答があるため、他社システムへの移行はあまり現実的ではないでしょう。

3.「SAP S/4HANA」へ移行する

2027年問題への対応策として、SAP社が推奨している方法が「SAP S/4HANA(エス・エー・ピー エスフォーハナ)」への移行です。

「SAP S/4HANA」は、「SAP ERP 6.0」のベンダーであるSAP社が後継として提供しているシステムのため、SAPを既に導入している企業にとっては他社のERPへ移行するよりもスムーズな今後の運用が期待できます。

「SAP S/4HANA」は機能がシンプルになっている、インメモリデータベースを利用した高速処理の実現などの特徴もあり、運用コストの低減につながるでしょう。

「SAP S/4HANA」への移行方法

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「SAP S/4HANA」への移行方法は、下記3つです。

  1. コンバージョン(Brown Field)
  2. リビルド(Green Field)
  3. 選択データ移行(Selective Data Transition)

それぞれの違いをご紹介します。

1.コンバージョン(Brown Field)

コンバージョンは「ブラウンフィールド(Brown Field)」とも呼ばれる方法で、SAP ERPの既存設定やアドオン・データを活用しながら、必要な点のみを変更します。

既存のERPの業務プロセスを大幅に見直す必要がない、システムにおける課題がないという場合は、コンバージョンを選択すると短期間、低コストで移行できるでしょう。

一方で既存の設定を引き継ぐため、「SAP S/4HANA」の機能を十分に活用できない恐れがあります。

2.リビルド(Green Field)

リビルドは「グリーンフィールド(Green Field)」とも呼ばれ、「SAP S/4HANA」を新規インストールする方法です。

既存のSAP ERPのパラメータやアドオン、データは自動的に移行されませんが、業務プロセスを見直したい場合には新規導入してクリアな状態からシステム構築できるリビルドが合っているかもしれません。「SAP S/4HANA」の機能も存分に活用できるでしょう。

ただしシステムの再構築となるリビルドは手間やコストの負担が大きく、完了までに時間もかかるため、スムーズな業務が妨げられる恐れがあります。

 3.選択データ移行(Selective Data Transition)

選択データ移行はコンバージョンやリビルドでは実現できない、インスタンス統合などの顧客固有の要件に対応できる方法です。

業務プロセスの一部を再設計し既存設定の一部を再利用することが可能なため、既存のERPのカスタマイズをベースとして再利用し、新規カスタマイズを追加する「シェルコンバージョン」や、ほとんどを新規構築したうえで必要なデータやカスタマイズを移行する「ミックス&マッチ」と一般的に呼ばれる手法を活用できます。

柔軟な対応を可能とする選択データ移行ですが、移行するデータの取捨選択や抽出には手間がかかる点に注意が必要です。

2027年問題への取り組みのポイント

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2027年問題へ取り組むにあたり、大切な3つのポイントがあります。

  1. 既存業務の見直しと改善をする
  2. 業務の標準化を図る
  3. サポートの有無を確認する

各ポイントについて解説します。

1.既存業務の見直しと改善をする

既存の業務を見直して省ける業務は除く、効率化できる業務は業務フローを改善するなどの対応をします。

不必要な業務やフローをなくすことで生産性の向上が期待できたり、システムに求める機能を減らせたりするでしょう。

また業務を見直すことで課題が浮き彫りになれば、システムに本当に必要な機能が明確になるため、システムを選ぶにあたって適切な判断を下せるようになります。

2.業務の標準化を図る

業務の属人化による製品・サービスの品質のブレや引き継ぎ不備などの発生を防げるように業務の標準化を図ることが望ましいです。

業務ルールやマニュアル、フローを確立すると誰が業務を行なっても同じようなクオリティになるため、安定した製品・サービスの提供が可能です。またスムーズな業務によって生産性の向上も期待できるでしょう。

業務標準化では、業務をシステムの標準機能に合わせることを意味する「Fit to Standard」が推奨されています。自社の業務をシステムに合わせることで、スムーズな標準化や導入を実現できます。

3.サポートの有無を確認する

新たなシステムへ移行する際に移行や運用をサポートしてくれるサービスがあると、スムーズに移行ができたり早期に運用に慣れることができる為、時間を有効に使えます。

そのため導入したいシステムに求めるサポート体制があるかを確認することが望ましいです。

システムにサポート体制がなくても、導入や運用支援サービスを提供している企業もあります。導入に不安がある、リソースが足りないなどの企業は相談をしてみるといいでしょう。

まとめ

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2027年問題への対応方法は現行のERPの継続利用や他社システムへの移行のほか、SAP社が推奨する「SAP S/4HANA」への移行があります。

「SAP S/4HANA」への移行方法は3種類あり、企業の状況に合わせて選択できます。スムーズな移行や運用には、専門家のサポートがあると安心でしょう。

アジアクエストのSAPサポート

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アジアクエストは2024年にSAPの専任チームを設立致しました。

バイリンガル人材を多く抱え、海外支社にも人材を配備することで、グローバルでSAP S/4HANAの導入やそれに関連するコンサルティングなど、要件定義から稼働後の定着化まで一貫して日英両言語でのサポートを行なっています。特に「SAP S/4HANA」に関する新規導入や移行のノウハウが豊富で、プライベートクラウドもパブリッククラウドも両方に対応が可能です。

SAP S/4HANAに関するご相談がございましたら、ぜひアジアクエストにお問い合わせください。