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AIOpsとMLOpsの違いとは?混同しやすい2つのOpsを整理 | アジアクエスト株式会社

作成者: アジアクエスト編集部|Oct 27, 2026, 9:57:25 AM

監修:アジアクエスト株式会社 AIアクセラレーション室
執筆:アジアクエスト編集部

AIOpsとMLOpsは、どちらも「AI」と「運用(Ops)」に関わる言葉ですが、方向性が逆の取り組みです。MLOpsは「機械学習モデルのための運用」で、AIモデルそのものを本番で安定して動かし続けるための仕組みです。一方のAIOpsは「IT運用のためのAI」で、AIを道具として使い、システム運用の障害検知や原因分析を効率化する取り組みです。

本記事では、名前が似ていて混同されやすい2つのOpsについて、目的・対象・担い手の違いと、両者をどう組み合わせるべきかを、経営層・IT部門責任者の視点で解説します。他のOpsとの関係は、関連記事「XOps(〇〇Ops)とは?DevOps・MLOps・AIOps・LLMOpsの違いと全体像」で整理しています。

この記事でわかること

  • AIOpsとMLOpsの違い(目的・対象・担い手)
  • AIOpsの定義と、注目されている背景
  • 両者を組み合わせて使う場面
  • 自社の課題に応じて、どちらから取り組むべきか

この記事の目次

1. AIOpsとMLOpsの違いを一言でいうと「AIと運用の関係が逆」

2つのOpsの違いは、「AI」と「運用」のどちらが目的で、どちらが手段かにあります。

観点 AIOps MLOps
考え方 運用のためのAI(AI for Ops) 機械学習モデルのための運用(Ops for ML)
目的 IT運用の効率化・高度化 機械学習モデルの継続的な本番運用
運用の対象 サーバー、ネットワーク、アプリケーションなどのITシステム全般 機械学習モデルと、その学習・推論の仕組み
AIの位置づけ 運用を助ける「道具」 運用される「対象」
扱う主なデータ ログ、メトリクス、アラート、障害チケットなどの運用データ 学習データ、モデル、予測結果
主な担い手 SRE(サイト信頼性エンジニア)、運用チーム データサイエンティスト、MLエンジニア
解決する課題の例 アラートが多すぎて本当の障害を見落とす AIモデルがPoC(概念実証)から本番に進まない、精度が落ちても気づけない

たとえば、ECサイトの商品レコメンドモデルを定期的に再学習し、安全に入れ替える仕組みはMLOpsです。一方、そのECサイトのインフラ監視で、大量のアラートから機械学習を使って本当に対応すべき障害を見つけ出すのはAIOpsです。

2. AIOpsとは?IT運用にAIを取り入れる取り組み

AIOpsは、Gartnerが提唱した言葉で、「Artificial Intelligence for IT Operations(IT運用のためのAI)」の略です。一般に、ビッグデータと機械学習を組み合わせてIT運用のプロセスを自動化する取り組みを指し、主な対象として、イベントの相関分析、異常検知、因果関係の特定などが挙げられます。

AIOpsが注目される背景

クラウドやマイクロサービス(システムを小さなサービスの組み合わせで構成する設計)の普及により、1つのシステムが出力するログやメトリクスの量は大きく増えました。障害が起きると、同じ原因に起因する大量のアラートが一斉に鳴り、運用担当者が本当の原因を探し出すまでに時間がかかる「アラート疲れ」が深刻な課題になっています。運用人員が限られる中で、人の目だけに頼った監視には限界があり、AIによる支援が求められるようになりました。

AIOpsの主な機能

機能 概要
異常検知 過去の傾向から「通常とは違う」挙動を自動で検知する
イベントの相関分析 大量のアラートのうち、同じ原因に起因するものをまとめ、ノイズを減らす
原因の推定 障害の根本原因となっている箇所を推定し、調査時間を短縮する
予兆検知 障害につながりそうな変化を事前に捉える
自動復旧 定型的な障害に対して、あらかじめ定めた手順を自動で実行する

近年は、大規模言語モデル(LLM)を使って障害の状況を自然言語で要約したり、対応手順を提案したりする機能も広がっています。

3. MLOpsとは?機械学習モデルを本番で回し続ける仕組み

MLOpsは、機械学習モデルの開発から本番運用までを自動化・標準化する取り組みです。モデルは本番投入後、データの変化によって精度が徐々に劣化していくため、精度を監視し、必要に応じて再学習して安全に入れ替える仕組みが欠かせません。

MLOpsの成熟度は、Googleが提唱する3段階のモデルがよく参照されます。すべて手作業の「レベル0」、学習パイプラインを自動化して継続的な再学習を可能にした「レベル1」、パイプライン自体の変更もCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)で自動化した「レベル2」です。詳しくは関連記事「MLOpsとは?成熟度レベル0〜2でわかる導入ステップ」で解説しています。

4. AIOpsとMLOpsの関係:対立ではなく補い合う

AIOpsとMLOpsは方向性こそ逆ですが、実際の現場では互いに補い合う関係にあります。

AIOpsの中で動くモデルは、MLOpsで管理する

AIOpsの異常検知や原因推定も、その多くは機械学習モデルで動いています。システム構成や利用状況が変われば「通常の状態」も変わるため、AIOpsのモデルも時間とともに精度が落ちていきます。誤検知や見逃しが増えれば、運用担当者はAIOpsを信頼しなくなります。自社でAIOpsのモデルを構築する場合は、MLOpsの手法で精度を監視し、再学習する仕組みが必要です。

MLOpsで動かす予測サービスは、監視基盤やAIOpsで見守る

反対に、MLOpsで本番に載せた予測サービスも、ITシステムの一部です。サーバーの負荷や応答時間の悪化、障害の発生といったシステム面の監視は、通常の監視基盤で行うのが基本で、規模が大きく複雑なシステムではAIOpsの仕組みも活用できます。モデルの精度はMLOpsで、サービスの稼働は監視基盤やAIOpsで、というように役割を分担すると、AIを含むシステム全体を安定して運用できます。

5. どちらから取り組むべきか:課題から判断する

AIOpsとMLOpsのどちらに取り組むべきかは、自社が抱える課題によって決まります。

自社の課題 優先すべきOps
アラートが多すぎて、本当の障害を見落としている AIOps
障害の原因調査に時間がかかり、復旧が遅い AIOps
運用担当者が不足し、夜間や休日の対応が負担になっている AIOps
AIモデルを作ったが、PoCから本番に進まない MLOps
本番のAIモデルの精度が落ちても気づけない MLOps
モデルの再学習や入れ替えが属人化している MLOps

両方の課題を抱えている場合でも、一度に進めるより、影響の大きい方から着手するのが現実的です。なお、どちらもCI/CDや監視といったDevOpsの基本が整っていることが前提になります。DevOpsの土台が弱い場合は、先にそちらを整えることをお勧めします。

6. AIOps導入で押さえるべき3つのポイント

AIOpsは、ツールを導入すれば自動で効果が出るものではありません。導入にあたっては、次の3点を押さえることが重要です。

1. 運用データを集約し、品質を整える

AIOpsの精度は、分析に使う運用データの質と量に左右されます。ログやメトリクス、アラート、障害チケットが部門やツールごとに分散していると、AIは相関を見つけられません。まずは運用データを集約し、形式をそろえることが出発点になります。

2. 運用プロセスとセットで見直す

AIが原因を推定しても、誰がどう判断し、どの手順で対応するかが決まっていなければ、復旧は早まりません。アラートの優先度の定義、対応の担当と手順、エスカレーションのルールを、AIOpsの導入にあわせて見直す必要があります。

3. 自動化は段階的に進める

最初から自動復旧まで任せるのではなく、「検知と通知」→「原因の推定と対応の提案」→「定型的な障害の自動復旧」というように、信頼を積み上げながら自動化の範囲を広げていくのが安全です。AIの判断を人が確認できる状態を保つことが、運用現場の納得感にもつながります。

7. AWS・Azure・Databricks・SnowflakeでAIOps・MLOpsを実現するには

主要なクラウドやデータ基盤は、AIOpsとMLOpsの双方を支える機能を備えています。体制とプロセスを定めたうえで、既存環境に合った機能を選ぶことが重要です。

基盤 AIOpsで活用できる主な機能 MLOpsで活用できる主な機能
AWS Amazon CloudWatch(監視、異常検出など) Amazon SageMaker AI(パイプライン、モデルレジストリ、モデル監視など)
Microsoft Azure Azure Monitor(監視、異常の検知、アラートなど) Azure Machine Learning(パイプライン、モデル管理など)
Databricks 大量のログを集約・分析し、独自の異常検知モデルを構築する基盤 MLflow(実験管理・モデル管理)、Unity Catalog(データとモデルのガバナンス)
Snowflake 運用データを集約・分析する基盤 Snowflake ML(データ基盤上でのモデル開発・管理)

クラウドの監視サービスが備える異常検知機能から始め、より高度な分析が必要になった段階で、DatabricksやSnowflakeに運用データを集約して独自のモデルを構築する、という段階的な進め方も考えられます。なお、各サービスの名称や機能は更新が頻繁なため、検討時には最新情報をご確認ください。

アジアクエストでは、AIOps・MLOpsの体制・プロセス設計から、AWS、Microsoft Azure、データ基盤(Databricks・Snowflake)を活用した仕組みの構築、運用、内製化支援までを一貫して支援しています。機械学習モデルの開発・運用については機械学習/AIモデルのページもご覧ください。

8. よくある質問(Q&A)

Q1. AIOpsとMLOpsの違いは何ですか?

方向性が逆です。AIOpsは「IT運用のためのAI」で、ログやアラートをAIで分析し、障害検知や原因分析を効率化します。MLOpsは「機械学習モデルのための運用」で、モデルの学習・デプロイ・監視・再学習を自動化します。前者の担い手はSREや運用チーム、後者はデータサイエンティストやMLエンジニアです。

Q2. AIOpsとは何ですか?

AIや機械学習を使ってIT運用を自動化・高度化する取り組みです。Gartnerが提唱した言葉で、イベントの相関分析、異常検知、因果関係の特定などを自動化の対象としています。大量のアラートの中から本当に対応すべき障害を見つけ出し、復旧を早めることが主な目的です。

Q3. AIOpsと従来の監視ツールは何が違うのですか?

従来の監視ツールは、あらかじめ設定したしきい値を超えたときにアラートを出すのが基本で、「何かが変わった」ことを知らせます。AIOpsは、過去の傾向から異常を自動で見つけ、関連するアラートをまとめ、原因の候補を示すことで、「なぜ起きたのか」「どれに対応すべきか」の判断を助けます。

Q4. AIOpsとMLOpsは両方必要ですか?

自社の状況によります。AIモデルを本番で運用していない企業では、まずAIOpsだけで十分なケースもあります。一方、AIモデルを本番運用しながら、そのシステムの安定稼働も求められる企業では、モデルの精度はMLOpsで、システムの稼働は監視基盤やAIOpsで見守るというように、両方を組み合わせると効果的です。

Q5. AIOpsの導入効果はどのように測ればよいですか?

障害の検知から復旧までの時間、アラートの件数とそのうち対応が必要だったものの割合、夜間・休日の呼び出し回数、誤検知の件数などが代表的な指標です。導入前にこれらの数値を把握しておくと、効果を客観的に示しやすくなります。

Q6. 生成AIの登場で、AIOpsはどう変わりますか?

大規模言語モデル(LLM)を使い、障害の状況を自然言語で要約したり、過去の対応記録から手順を提案したりする機能が広がっています。一方で、AIの判断をどこまで信頼し、どこから人が判断するかという線引きがより重要になっています。

Q7. AIOpsの導入には、どのくらいの期間がかかりますか?

対象範囲と運用データの整備状況によって大きく変わります。あくまで一般的な目安ですが、以下の期間を見込むケースが多く見られます。

  • クラウドの監視サービスが備える異常検知機能の活用:1〜3か月程度
    既存のクラウド環境で監視の仕組みが動いていることが前提です。対象システムを絞り、異常検知とアラートの整理から始めます。

  • 複数システムの運用データを集約した独自の分析基盤の構築:6か月〜1年程度
    運用データの集約・整備、独自の異常検知モデルの構築、運用プロセスの見直しまでを含みます。

【期間変動の主な要因】

  • 運用データが集約されている場合:分析や異常検知の設計に集中でき、短期間での立ち上げが可能です。

  • 運用データがツールや部門ごとに分散している場合:先にデータの集約と形式の統一が必要となり、その分期間が延びます。

Q8. AIOpsの導入費用はどのくらいですか?

前提条件によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • クラウドの監視サービスを活用した異常検知の導入(既存のクラウド環境あり、対象システムを限定):数百万円程度から
  • 複数システムの運用データを集約した独自の分析基盤の構築:1,000万円前後から

これに加えて、監視サービスの利用料や、運用データの保存・分析にかかる費用が継続的に発生します。運用データは量が多くなりやすいため、保存期間や分析対象を設計段階で決めておくことが重要です。

Q9. アジアクエストでは、AIOpsとMLOpsのどちらを支援していますか?

両方を支援しています。AIOpsについては運用データの集約や運用プロセスの見直しから、MLOpsについては成功基準の設計や体制づくりから支援し、AWS・Microsoft Azure・Databricks・Snowflakeを横断して、お客様の既存環境に合った構成を構築します。構築後は、お客様自身で運用・改善できる状態を目指す内製化支援まで一貫して伴走します。

Q10. どちらから始めるべきか判断できない場合も相談できますか?

はい、ご相談いただけます。現在の運用体制やAI活用の状況をお聞きしたうえで、課題を整理し、優先して取り組むべき領域と進め方をご提案します。お問い合わせはサービスへのお問い合わせページから承っています。

9. まとめ:「AIを運用する」か「AIで運用する」かで整理する

AIOpsとMLOpsは名前が似ていますが、MLOpsは「AIを運用する」ための仕組み、AIOpsは「AIで運用する」ための仕組みです。方向性は逆でも、AIを含むシステム全体を安定して動かすうえでは、互いに補い合う関係にあります。

進め方の要点は3つです。第一に、自社の課題が「運用の効率化」なのか「AIモデルの本番運用」なのかを見極めること。第二に、どちらもツールの導入だけでなく、データの整備と運用プロセスの見直しをセットで進めること。第三に、自動化の範囲を段階的に広げ、現場の信頼を積み上げることです。

アジアクエストでは、AIOps・MLOpsの現状診断から体制設計、AWS・Azure・Databricks・Snowflakeを活用した仕組みの構築、内製化までを一貫して支援しています。「アラート対応に追われている」「AIモデルが本番に進まない」といった段階から、お気軽にご相談ください。


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参考ページ

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