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DataOpsとは?AI活用の成否を分けるデータ運用 | アジアクエスト株式会社

作成者: アジアクエスト編集部|Oct 27, 2026, 10:25:08 AM

監修:アジアクエスト株式会社 AIアクセラレーション室
執筆:アジアクエスト編集部

DataOps(データオプス)とは、データの収集・加工・提供までの流れ(データパイプライン)にDevOpsの考え方を取り入れ、品質の高いデータを必要な人やシステムへ、速く安定して届け続けるための考え方と実践です。データを作る側と使う側の連携を強め、自動化と監視によってデータの品質と鮮度を保ちます。

AIの成果は、使うデータの質に大きく左右されます。機械学習モデルも生成AIも、元になるデータに問題があれば期待どおりには動きません。その意味で、DataOpsはMLOpsやLLMOpsを支える土台といえます。

本記事では、DataOpsの基本と、AI活用に向けて求められるデータ運用、導入の進め方を、経営層・IT部門責任者の視点で解説します。他のOpsとの関係は、関連記事「XOps(〇〇Ops)とは?DevOps・MLOps・AIOps・LLMOpsの違いと全体像」で整理しています。

この記事でわかること

  • DataOpsの定義と、DevOpsとの違い
  • AIプロジェクトの成否がデータで決まる理由
  • データ品質の自動テストや監視など、DataOpsの主な実践
  • AI活用に向けたデータ運用の進め方と体制

この記事の目次

1. DataOpsとは?DevOpsとの違い

DataOpsは、DevOpsがソフトウェア開発にもたらした自動化・継続的な改善・部門間の連携といった考え方を、データの領域に適用したものです。ただし、扱う対象がコードではなくデータであるため、次のような違いがあります。

観点 DevOps DataOps
主な対象 アプリケーションのコード データと、データを加工・提供するパイプライン
品質の確認 コードのテスト(期待どおりに動くか) データのテスト(欠損・重複・異常値がないか、定義どおりか)
変化の要因 主に開発者によるコードの変更 コードの変更に加え、元になるシステムやデータ自体の変化
主な利用者 アプリケーションの利用者 分析担当者、業務部門、AIモデルや生成AIアプリケーション
主な担い手 開発・運用チーム データエンジニア、データの利用者、データの管理責任者

特に大きな違いは、コードを変更していなくても問題が起きる点です。元になる業務システムの仕様変更や入力ミス、外部データの形式変更などにより、ある日突然データの品質が落ちることがあります。そのため、DataOpsでは「データそのものを継続的にテストし、監視する」ことが中心になります。

2. なぜDataOpsが必要なのか:AIに適したデータのないAIプロジェクトの60%は中止と予測

Gartnerは2025年2月、AIに適したデータ(AI-ready data)の不足が、AIプロジェクトの大きなリスクになっていると発表しました。

調査・予測の内容 結果・数値
AIに適したデータ管理の実践が「ない」または「あるかわからない」と回答した組織の割合 63%
AIに適したデータに支えられていないAIプロジェクトのうち、2026年までに放棄されると予測された割合 60%

出典:Gartner(2025年2月26日)

Gartnerは同じ発表の中で、AIに適したデータは一度整備すれば終わりではなく、AIの用途に応じて継続的に改善し続ける実践として捉えるべきだとしています。これはまさに、データを継続的にテスト・監視・改善するDataOpsの考え方と一致します。

実際の現場では、次のような課題がAI活用を阻んでいます。

  • データの分断:顧客や商品のデータが部門やシステムごとにばらばらに管理され、同じ顧客が別々に登録されているといった不整合が生じています。

  • 品質の問題に気づけない:欠損や異常値が混入しても検知する仕組みがなく、AIの出力がおかしくなってから初めて気づきます。

  • 属人的な加工:データの加工手順が担当者の手作業やスクリプトに依存し、担当者が不在になると更新が止まります。

  • 来歴がわからない:データがどこから来て、どう加工されたかを追跡できず、問題の原因を特定できません。

3. DataOpsの主な実践

DataOpsは、次のような実践の組み合わせによって実現します。

実践 概要 得られる効果
パイプラインの自動化 データの取り込み・加工・提供の手順を自動で実行する 属人化の解消、更新の安定化
データ品質の自動テスト 欠損・重複・異常値・定義違反などを自動で検査する 品質の問題を利用者に届く前に検知
データの監視(データ可観測性) データの鮮度・件数・分布の変化などを継続的に監視する 異常の早期発見、原因調査の迅速化
リネージ(来歴)の管理 データがどこから来て、どう加工されたかを記録する 問題の影響範囲の特定、監査への対応
バージョン管理とCI/CD パイプラインのコードや設定を管理し、変更を自動でテスト・反映する 変更による障害の防止、迅速な改善
ガバナンスとアクセス管理 データの定義・責任者・利用権限を明確にする 安全なデータ活用、規制への対応

4. AI活用に向けたデータ運用で押さえるべき点

従来のデータ活用の中心は、売上や在庫などを集計してレポートやダッシュボードで可視化するBI(ビジネスインテリジェンス)でした。AI活用では、これに加えて次のような点が求められます。

非構造化データも対象になる

生成AIのRAG(検索拡張生成:社内文書などを検索して回答に反映する仕組み)では、規程集やマニュアル、議事録などの文書データが重要な資産になります。表形式のデータだけでなく、文書データの収集・更新・アクセス権限の管理もデータ運用の対象になります。

鮮度と一貫性がより重要になる

レポートであれば月次の更新で足りる場合でも、AIが業務の判断に使われると、古いデータや不整合なデータがそのまま誤った判断につながります。用途に応じた更新頻度と、データの定義の一貫性を保つ仕組みが必要です。

学習時と本番時のデータをそろえる

機械学習モデルでは、学習に使ったデータと、本番で予測に使うデータの加工方法がずれると、精度が大きく落ちることがあります。同じ定義・同じ加工手順でデータを提供できるよう、パイプラインを共通化することが重要です。

5. DataOpsの導入ステップ

DataOpsは、全社のデータを一度に整備しようとすると、範囲が広すぎて成果が見えにくくなります。AIや分析のユースケースを起点に、必要なデータから段階的に整えるのが現実的です。

ステップ1:ユースケースから必要なデータを特定する

需要予測、社内文書検索、顧客分析など、取り組みたいAIや分析のユースケースを1つ選び、それに必要なデータと、求められる品質・鮮度を明確にします。Gartnerも、AIに適したデータを整えるうえで、データをAIの具体的な用途と結びつけることを推奨しています。

ステップ2:データの責任者と定義を決める

対象のデータごとに、品質に責任を持つ人(データオーナー)と、「顧客」「売上」などの定義を決めます。定義があいまいなままでは、テストの基準も決められません。

ステップ3:パイプラインを自動化し、品質テストを組み込む

データの取り込みから加工・提供までを自動化し、各段階に欠損・重複・異常値などを検査するテストを組み込みます。問題があれば、利用者に届く前に処理を止めて通知する仕組みにします。

ステップ4:監視とリネージの管理を始める

データの鮮度や件数、分布の変化を継続的に監視し、異常があればアラートが上がるようにします。あわせて、データの来歴を記録し、問題が起きたときに影響範囲と原因を追跡できる状態にします。

ステップ5:型を横展開し、ガバナンスを整える

最初のユースケースで確立したパイプラインとテストの型を、他のデータやユースケースへ広げます。対象が広がる段階で、データカタログ(社内のデータの所在や定義をまとめた目録)やアクセス権限の管理を整え、全社で安全にデータを活用できる状態にします。

6. ツールより先に決めるべき体制と役割

DataOpsでも、パイプラインツールを導入するだけでは、データの品質は上がりません。データの問題の多くは、元になる業務プロセスや入力の段階で生じるため、IT部門だけでなく業務部門を巻き込んだ体制が欠かせません。

役割 主な責任
データオーナー(業務部門) 担当するデータの定義と品質に対する責任、品質基準の決定
データスチュワード データの定義やルールの維持、品質の問題への対応の調整
データエンジニア パイプラインの構築・自動化、品質テストと監視の仕組みづくり
データの利用者(分析担当、AIエンジニアなど) 必要なデータ要件の提示、品質の問題のフィードバック
責任者(CDO・データ活用の責任者など) データ活用の方針と優先順位の決定、部門をまたぐ調整

特に重要なのは、「データの品質に最終的な責任を持つのは誰か」を、データごとに明確にすることです。多くの組織では、データの問題が起きると、入力した部門・システムの管理部門・IT部門の間で責任があいまいになり、対応が遅れがちです。

7. Databricks・Snowflake・AWS・AzureでDataOpsを実現するには

DataOpsは、DatabricksやSnowflakeといったデータ基盤が特に強みを発揮する領域です。主要なクラウドも、データ統合やガバナンスの機能を備えています。体制とユースケースを定めたうえで、データの所在と既存環境に合った基盤を選ぶことが重要です。

基盤 DataOpsで活用できる主な機能 向いているケース
Databricks Lakeflow(データパイプラインの構築、品質ルールによるチェック)、Unity Catalog(ガバナンス、リネージの管理) 大量のデータの加工から機械学習・生成AIまでを、一つの基盤で扱いたい
Snowflake Dynamic Tables(データの変換・自動更新)、Data Metric Functions(データ品質の監視)、ガバナンス機能 分析データを一元的に集約し、部門をまたいで安全に共有・活用したい
AWS AWS Glue(データ統合、AWS Glue Data Qualityによる品質チェックなど) 既存システムがAWS上にあり、AWSのサービスを組み合わせてデータ基盤を構築したい
Microsoft Azure Azure Data Factory(データ統合)、Microsoft Purview(データガバナンス) Microsoft製品を全社で利用しており、Azure上でデータ統合とガバナンスを統一したい

いずれの基盤を選ぶ場合も、データの所在と、将来のAI活用の方向性を踏まえて全体を設計することが重要です。なお、各サービスの名称や機能は更新が頻繁なため、検討時には最新情報をご確認ください。

アジアクエストでは、DataOpsの体制・プロセス設計から、データ基盤(Databricks・Snowflake)、AWS、Microsoft Azureを活用したデータパイプラインの構築、運用、内製化支援までを一貫して支援しています。

8. よくある質問(Q&A)

Q1. DataOpsとは何ですか?

データの収集・加工・提供までの流れにDevOpsの考え方を取り入れ、品質の高いデータを速く安定して届け続けるための考え方と実践です。パイプラインの自動化、データ品質の自動テスト、データの監視、来歴の管理などを組み合わせ、データを作る側と使う側の連携を強めます。

Q2. DataOpsとDevOpsの違いは何ですか?

DevOpsはアプリケーションのコードを、DataOpsはデータとデータを加工するパイプラインを主な対象とします。DataOpsでは、コードを変更していなくても元のシステムやデータの変化で品質が落ちることがあるため、データそのものを継続的にテスト・監視することが中心になります。

Q3. DataOpsとMLOpsはどう関係していますか?

DataOpsは、MLOpsやLLMOpsの前提となる「質の高いデータを安定して供給する」部分を担います。機械学習モデルの精度も、生成AIの回答品質も、元になるデータの質に大きく左右されるため、DataOpsが整っていないとMLOpsやLLMOpsも成果を出しにくくなります。

Q4. データ品質はどのように測ればよいですか?

一般的には、正確性(値が正しいか)、完全性(欠損がないか)、一貫性(システム間で矛盾がないか)、鮮度(更新が遅れていないか)、一意性(重複がないか)などの観点で測ります。すべてを一度に測る必要はなく、ユースケースにとって重要な観点から自動テストを組み込むのが効果的です。

Q5. データのサイロ化(分断)を解消するには、どうすればよいですか?

部門ごとに分散したデータを一つのデータ基盤に集約することに加え、「顧客」「商品」などの共通の定義と、データごとの責任者を決めることが重要です。技術的な統合だけでは、定義の違いによる不整合は解消されません。まずは優先度の高いユースケースに必要なデータから統合を進めるのが現実的です。

Q6. 生成AIの活用に向けて、データ面で何を準備すべきですか?

RAGで参照する社内文書の収集・電子化・整理と、アクセス権限の整理が出発点になります。あわせて、文書の更新頻度や、古い文書を除外するルールを決めておくことが重要です。表形式のデータを生成AIで扱う場合は、項目の定義や意味を説明するメタデータ(データについての説明情報)の整備も欠かせません。

Q7. DataOpsの導入には、どのくらいの期間がかかりますか?

対象のデータの範囲と、現状の整備状況によって大きく変わります。あくまで一般的な目安ですが、以下の期間を見込むケースが多く見られます。

  • 単一ユースケースに必要なデータのパイプライン構築と品質テストの導入:2〜4か月程度
    既存のクラウド環境やデータ基盤があり、元になるデータの所在が把握できていることが前提です。

  • 複数部門のデータ統合と、全社的なガバナンスの整備:6か月〜1年以上
    データカタログ、アクセス権限の管理、データの責任者の体制づくりまでを含みます。

【期間変動の主な要因】

  • データの定義と責任者が決まっている場合:パイプラインの構築とテストに集中でき、短期間での立ち上げが可能です。

  • データが多数のシステムに分散し、定義が部門ごとに異なる場合:定義の統一や部門間の調整が先に必要となり、その分期間が延びます。

Q8. DataOpsの導入費用はどのくらいですか?

前提条件によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 単一ユースケースのデータパイプライン構築と品質テストの導入(既存のデータ基盤あり):数百万円程度から
  • データ基盤の新規構築と、複数部門のデータ統合:1,000万円前後から
  • 全社的なデータガバナンスまで含めた整備:数千万円規模

これに加えて、データ基盤の利用料が継続的に発生します。DatabricksやSnowflakeは利用量に応じて費用が変動するため、処理の頻度やデータ量を踏まえて試算し、利用状況を監視する仕組みを設けておくことが重要です。

Q9. アジアクエストのDataOps支援には、どのような特徴がありますか?

データ基盤の構築にとどまらず、ユースケースから必要なデータを特定し、データの定義や責任者の体制づくりから支援する点が特徴です。Databricks・Snowflakeを中心に、AWS・Microsoft Azureも含めて横断的に、お客様のデータの所在と将来のAI活用に合った構成を設計・構築します。構築後は、お客様自身で運用・改善できる状態を目指す内製化支援まで一貫して伴走します。

Q10. DatabricksとSnowflakeのどちらを選ぶべきか迷っています。相談できますか?

はい、ご相談いただけます。現在のデータの所在や量、社内のスキル、将来のAI活用の方向性をお聞きしたうえで、特定の製品に偏らず、お客様に合った構成をご提案します。お問い合わせはサービスへのお問い合わせページから承っています。

9. まとめ:AIの成果は「データを整え続ける仕組み」で決まる

DataOpsは、品質の高いデータを速く安定して届け続けるための取り組みです。AIに適したデータの裏付けがないAIプロジェクトの60%が中止されると予測されるように、AI活用の成否はモデルよりもデータで決まる側面があります。

進め方の要点は3つです。第一に、全社のデータを一度に整えるのではなく、ユースケースを起点に必要なデータから整えること。第二に、ツールより先に、データの定義と品質に責任を持つ人を決めること。第三に、データを継続的にテスト・監視し、一度きりではなく改善し続ける実践として定着させることです。

アジアクエストでは、DataOpsの現状診断から体制設計、Databricks・Snowflake・AWS・Azureを活用したデータ基盤とパイプラインの構築、内製化までを一貫して支援しています。「データが分散していてAIに使えない」「データの品質に不安がある」といった段階から、お気軽にご相談ください。


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