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AgentOpsとは?AIエージェント時代の運用とガバナンス | アジアクエスト株式会社

作成者: アジアクエスト編集部|Oct 27, 2026, 10:20:57 AM

監修:アジアクエスト株式会社 AIアクセラレーション室
執筆:アジアクエスト編集部

AgentOps(エージェントオプス)とは、自律的にツールやシステムを操作して業務を進めるAIエージェントを、本番環境で安全かつ継続的に運用するための考え方と実践です。AIエージェントは、人の確認なしにメールの送信やデータの更新、外部サービスの操作などを行い得るため、従来の生成AI以上に、行動の追跡や権限の管理といったガバナンスが重要になります。

なお、AgentOpsは用語としてまだ定着途上の比較的新しい概念で、同じ名前の製品も存在します。本記事では、特定の製品ではなく「AIエージェントを運用するための取り組み全般」を指す言葉として扱います。

本記事では、AgentOpsの基本と、LLMOpsとの違い、AIエージェントを安全に運用するために押さえるべき管理領域と体制を、経営層・IT部門責任者の視点で解説します。他のOpsとの関係は、関連記事「XOps(〇〇Ops)とは?DevOps・MLOps・AIOps・LLMOpsの違いと全体像」で整理しています。

この記事でわかること

  • AgentOpsの定義と、LLMOpsとの違い
  • AIエージェントのプロジェクトが中止されやすい背景
  • 権限・行動の追跡・人による承認など、AgentOpsで管理すべき領域
  • 自律の範囲を段階的に広げる進め方と、先に整えるべき体制

この記事の目次

1. AgentOpsとは?LLMOpsとの違い

AIエージェントとは、与えられた目標に向けて自ら手順を考え、社内システムや外部サービスなどのツールを使いながら、複数のステップにわたって作業を進めるAIです。質問に答えるだけの生成AIが「考えて答える」存在だとすれば、AIエージェントは「考えて実行する」存在といえます。

AgentOpsは、生成AIの運用を扱うLLMOpsを土台に、この「実行する」ことに伴うリスクと管理を加えたものです。

観点 LLMOps AgentOps
主な対象 質問に回答する生成AIアプリケーション 自律的にツールを操作して業務を進めるAIエージェント
AIの出力 文章や回答 文章に加え、システムの操作や外部への送信などの行動
処理の流れ 1回の入力に対して1回の出力が中心 複数のステップを自律的に判断しながら進める
誤りの影響 誤った回答を利用者が信じてしまう 誤った操作が実行され、業務やシステムに直接影響する
特に重要な管理 回答品質の評価、情報漏えい対策 権限の最小化、行動の追跡、人による承認、停止手段

最大の違いは、誤りが「実行」に直結する点です。生成AIの誤った回答は、人が確認すれば実害を防げます。一方、AIエージェントが誤って顧客にメールを送信したり、データを削除したりすれば、取り返しのつかない影響が生じるおそれがあります。

2. なぜAgentOpsが必要なのか:AIエージェントプロジェクトの40%超は中止と予測

Gartnerは2025年6月、2027年末までにAIエージェント(エージェント型AI)のプロジェクトの40%超が中止されるとの予測を公表しました。主な要因として挙げられたのは、コストの増大、ビジネス価値の不明確さ、リスク管理の不十分さです。

調査・予測の内容 結果・数値
2027年末までに中止されると予測されたAIエージェントのプロジェクトの割合 40%超
AIエージェントに「大きな投資をした」と回答した割合(2025年1月、Gartnerのウェビナー参加者3,412人へのアンケート) 19%
AIエージェントに「控えめな投資をした」と回答した割合(同) 42%
数千社とされるAIエージェント関連ベンダーのうち、実態を伴うとGartnerが推定した数 約130社

出典:Gartner(2025年6月25日)

Gartnerは同じ発表の中で、現在のAIエージェントのプロジェクトの多くは初期段階の実験やPoC(概念実証)で、過度な期待に後押しされて適切でない用途に使われていることも多いと指摘しています。また、既存のチャットボットやRPA(定型作業の自動化ツール)を、実質的な機能を伴わないままAIエージェントとして売り出す「エージェント・ウォッシング」にも注意を促しています。

これらの指摘は、AIエージェントを本番で使うには、技術の導入だけでなく、コストと価値を見極め、リスクを管理する運用の仕組みが欠かせないことを示しています。

3. AgentOpsで管理すべき5つの領域

1. 権限の最小化

AIエージェントに与える権限は、業務に必要な最小限にとどめます。参照のみでよい業務に更新の権限を与えない、操作できるシステムやデータの範囲を限定する、といった設計が基本です。OWASP(ソフトウェアのセキュリティ向上に取り組む国際的な非営利団体)が公開するLLMアプリケーションの主要リスクの一覧(2026年版)でも、AIに過剰な権限を与えることによる意図しない操作(Excessive Agency)が3番目のリスクに挙げられています。また、OWASPは2025年12月に、AIエージェント特有のリスクを整理した「OWASP Top 10 for Agentic Applications for 2026」も公開しています。正規のツールが意図しない形で使われる「ツールの悪用」など、エージェントならではのリスクへの対策を検討する際の参考になります。

また、AIエージェントが社内外のツールやデータにつながる方式として、MCP(Model Context Protocol)が広く使われるようになっています。接続を許可するMCPサーバーやツールを審査・一覧化し、それぞれに与える権限を管理することも、権限の最小化に欠かせない取り組みです。

2. 行動の追跡(トレース)

AIエージェントが「どの情報をもとに、どう判断し、どのツールで何を実行したか」を、ステップごとに記録します。問題が起きたときに原因を特定できるだけでなく、監査やコンプライアンスへの対応にも欠かせません。

3. 人による承認(ヒューマン・イン・ザ・ループ)

外部への送信、金額を伴う処理、データの削除など、影響の大きい操作の前には、人の承認を挟む仕組みを設けます。どの操作を自律で実行させ、どの操作に承認を求めるかを、業務のリスクに応じて明確に定めておくことが重要です。

4. 評価と品質の管理

AIエージェントは複数のステップを経て結果を出すため、最終結果だけでなく、途中の判断やツールの使い方が適切だったかも評価する必要があります。代表的な業務シナリオを評価用データとして用意し、設定を変更するたびに確認する仕組みをつくります。

5. 停止手段とコストの管理

AIエージェントが想定外の動作をしたときに、すぐに止められる手段を用意します。あわせて、1回の処理で実行できる操作の回数や、利用できるAPIの費用に上限を設け、処理が繰り返されてコストが急増する事態を防ぎます。

4. 自律の範囲は段階的に広げる

AIエージェントの導入では、最初から大きな権限を与えて完全に自律させるのではなく、信頼を積み上げながら自律の範囲を広げていくことが安全です。一般的には、次のような段階で進めます。

段階 AIエージェントの役割 人の関わり方 向いている業務の例
段階1:提案 情報を集め、対応案を作成する 人が内容を確認し、自ら実行する 問い合わせへの回答案の作成、調査レポートの下書き
段階2:承認後に実行 対応案を作成し、承認を得てから実行する 人が実行前に承認する 社内システムへのデータ登録、定型メールの送信
段階3:自律実行 定められた範囲の業務を自律的に実行する 人は結果を事後に確認し、例外に対応する 影響が小さく、手順が明確な定型業務

段階を進める判断は、評価用データでの結果や、本番での誤りの発生状況をもとに行います。また、同じAIエージェントでも、操作の内容によって段階を分けることが重要です。たとえば、社内データの参照は段階3で自律させつつ、顧客への送信は段階2で承認を求める、といった設計が考えられます。

5. ツールより先に決めるべき体制と役割

AgentOpsでは、AIエージェントが業務を「実行」するため、IT部門だけでなく、業務部門やリスク管理の担当者を巻き込んだ体制が欠かせません。

役割 主な責任
業務部門(業務の責任者) 任せる業務の範囲と成功基準の定義、承認の担当、結果の確認
AIエンジニア AIエージェントの設計・構築、評価の仕組みの構築、改善
システム管理者 接続するシステムとの連携、権限の設定と管理
セキュリティ・リスク管理担当 権限設計の審査、リスクの評価、監査への対応
運用担当 行動ログの監視、異常時の停止と障害対応、コストの監視
責任者(プロダクトオーナー) AIエージェントの行動と業務成果に対する最終責任、自律の範囲の決定

特に重要なのは、「AIエージェントの行動の結果に、最終的に誰が責任を持つのか」を明確にすることです。AIが自律的に実行した操作であっても、その結果の責任は企業が負います。責任の所在があいまいなままでは、誤りが起きたときに対応が遅れ、利用の拡大も進みません。

6. AWS・Azure・Databricks・SnowflakeでAgentOpsを実現するには

主要なクラウドやデータ基盤は、AIエージェントの構築と運用を支える機能の提供を進めています。体制と任せる業務の範囲を定めたうえで、既存環境とデータの所在に合った基盤を選ぶことが重要です。

基盤 AgentOpsで活用できる主な機能 向いているケース
AWS Amazon Bedrock(エージェントの構築・実行、ガードレールなど)、Amazon Bedrock AgentCore(エージェントの本番運用を支える実行環境・監視など) 既存システムがAWS上にあり、AWSのサービスと連携するエージェントを構築したい
Microsoft Azure Microsoft Foundry(エージェントの構築・実行、評価、監視など) Microsoft製品を全社で利用しており、既存の業務システムと連携させたい
Databricks エージェントの構築・評価機能、Unity Catalog(データ・AI・ツールのガバナンス) 社内データを活用するエージェントを、データガバナンスと一体で管理したい
Snowflake Snowflake Cortex AI(Cortex Agentsによるエージェントの構築など)、ガバナンス機能 分析データがSnowflakeに集約されており、データを移動させずにエージェントを使いたい

AIエージェント関連の機能は、各社とも更新が特に速い領域です。検討時には最新の機能と提供状況をご確認ください。

アジアクエストでは、AIエージェントの業務設計やガバナンス設計から、AWS、Microsoft Azure、データ基盤(Databricks・Snowflake)を活用したエージェント基盤の構築、運用、内製化支援までを一貫して支援しています。AIエージェントの活用についてはAIエージェント/生成AI/LLMのページもご覧ください。

7. よくある質問(Q&A)

Q1. AgentOpsとは何ですか?

自律的にツールやシステムを操作して業務を進めるAIエージェントを、本番環境で安全かつ継続的に運用するための考え方と実践です。権限の最小化、行動の追跡、人による承認、評価、停止手段やコストの管理などを仕組みとして回します。用語としてはまだ定着途上の比較的新しい概念です。

Q2. AIエージェントと生成AI(チャットボット)の違いは何ですか?

生成AIのチャットボットは、質問に対して回答を返す「考えて答える」存在です。AIエージェントは、目標に向けて自ら手順を考え、社内システムや外部サービスを操作しながら複数のステップにわたって作業を進める「考えて実行する」存在です。実行を伴う分、誤りの影響が大きく、より厳格な運用管理が求められます。

Q3. AgentOpsとLLMOpsはどう違うのですか?

AgentOpsは、LLMOpsを土台に、AIエージェントが「実行する」ことに伴う管理を加えたものです。回答品質の評価や情報漏えい対策といったLLMOpsの論点に加えて、権限の最小化、行動の追跡、影響の大きい操作への人の承認、異常時の停止手段などが重要になります。

Q4. AIエージェントに任せてよい業務は、どのように判断すればよいですか?

誤った場合の影響の大きさと、手順の明確さで判断するのが基本です。影響が小さく手順が明確な定型業務から始め、影響の大きい操作には人の承認を挟みます。また、Gartnerが指摘するように、エージェントとして実装する必要のない用途も多いため、従来の自動化や生成AIで十分でないかも検討することが大切です。

Q5. ヒューマン・イン・ザ・ループとは何ですか?

AIの処理の途中に人の確認や承認を組み込む仕組みです。AIエージェントでは、外部への送信、金額を伴う処理、データの削除など、影響の大きい操作の前に人の承認を求める形で使われます。すべての操作に承認を求めると効率が落ちるため、業務のリスクに応じて対象を決めることが重要です。

Q6. AIエージェントの誤作動を防ぐには、どうすればよいですか?

完全に防ぐことは難しいため、「起きても被害を小さくする」設計が基本です。権限を最小限にする、影響の大きい操作には人の承認を挟む、1回の処理で実行できる操作の回数やコストに上限を設ける、すぐに停止できる手段を用意する、行動をすべて記録する、といった対策を組み合わせます。

Q7. AIエージェントを本番運用に乗せるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

任せる業務の範囲と、接続するシステムの数によって大きく変わります。あくまで一般的な目安ですが、以下の期間を見込むケースが多く見られます。

  • 単一業務での検証(段階1〜2の提案・承認型):2〜3か月程度
    既存のクラウド環境があり、接続するシステムが限られていることが前提です。

  • 権限設計・行動の追跡・監視を含めた本番運用基盤の構築:4〜8か月程度
    複数のシステムとの連携、ガバナンスの仕組み、運用体制の整備までを含みます。


【期間変動の主な要因】

  • 接続するシステムにAPIが整備されている場合:連携の開発に時間がかからず、短期間での立ち上げが可能です。

  • 接続先が古いシステムで、APIがない場合:連携の方法の検討や開発が必要となり、その分期間が延びます。

  • 金融や医療など、規制の厳しい業務を扱う場合:リスク評価や監査への対応に時間を要します。

Q8. AgentOpsの導入費用はどのくらいですか?

前提条件によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 単一業務での検証(既存クラウド環境あり、接続するシステムが限定的):数百万円程度から
  • 単一業務の本番運用基盤(権限設計・行動の追跡・監視・承認の仕組みを含む):1,000万円前後から

これに加えて、生成AIのAPI利用料やクラウドの利用料が継続的に発生します。AIエージェントは1つの業務で何度もAIを呼び出すため、通常の生成AIよりも利用料が膨らみやすい傾向があります。処理1回あたりのコストを試算し、上限を設けたうえで運用することが重要です。

Q9. アジアクエストのAgentOps支援には、どのような特徴がありますか?

AIエージェントの構築にとどまらず、任せる業務の見極め、権限と承認の設計、責任の所在を含めた体制づくりから支援する点が特徴です。AWS・Microsoft Azure・Databricks・Snowflakeを横断し、お客様の既存システムと社内データに合った構成でエージェント基盤を構築します。構築後は、お客様自身で運用・改善できる状態を目指す内製化支援まで一貫して伴走します。

Q10. AIエージェントの導入を検討し始めた段階でも相談できますか?

はい、ご相談いただけます。対象として考えている業務や接続するシステムをお聞きしたうえで、AIエージェントが適した用途かどうかを含めて整理し、小さく始めるための進め方をご提案します。お問い合わせはサービスへのお問い合わせページから承っています。

8. まとめ:AIエージェントは「任せ方」の設計で成否が決まる

AgentOpsは、自律的に業務を実行するAIエージェントを、安全に使い続けるための取り組みです。AIエージェントのプロジェクトの40%超が中止されると予測される背景には、コストと価値の見極め不足や、リスク管理の不十分さがあります。

進め方の要点は3つです。第一に、ツールより先に、任せる業務の範囲と、行動の結果に責任を持つ人を決めること。第二に、権限の最小化・行動の追跡・人による承認・停止手段を、最初から仕組みに組み込むこと。第三に、提案から承認後の実行、自律実行へと、信頼を積み上げながら段階的に自律の範囲を広げることです。

アジアクエストでは、AIエージェントの業務設計・ガバナンス設計から、AWS・Azure・Databricks・Snowflakeを活用したエージェント基盤の構築、内製化までを一貫して支援しています。「AIエージェントをどこから使うべきかわからない」「安全に運用できるか不安」といった段階から、お気軽にご相談ください。


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参考ページ

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