ECの変遷
ECは、EC1.0、EC2.0、EC3.0という変遷があり、2025年現在においてはEC3.0の時代といわれています。
ECの変遷を確認しましょう。
次世代ECとは、EC3.0よりも消費者体験をさらに向上させるECのことです。概要やEC市場の推移、変遷、手法、大切なポイントを解説します。
次世代ECとは、EC3.0よりも消費者体験をさらに向上させるECのことです。
「何でも、いつでも、どこでも」買えるEC3.0の時代において、さらなる消費者ニーズに応えていくには、消費者体験を高めることが求められています。
次世代ECの概要やECの変遷、手法、ECに取り組むにあたってのポイントについて解説します。
次世代ECとは、「何でも、いつでも、どこでも」買える時代であるEC3.0よりも消費者体験をさらに向上させるECのことです。
EC(Electronic Commerce)とは、「電子商取引」や「eコマース」とも呼ばれ、インターネット上でモノを売買する取引行為を指します。ネットショッピングというとわかりやすいでしょう。インターネット上に出店している店舗は「ネットショップ」または「ECサイト」と呼ばれます。
新型コロナウィルス感染症の影響で一般的となったECは、デジタル技術の発展によって今後さらに利用者が増加すると考えられるため、消費者ニーズに対応できるように次世代ECを展開する必要があります。
経済産業省によると、BtoCのEC市場規模は、2014年から右肩上がりに増加し、2023年には約25兆円もの市場規模となっています。なかでも、物販系分野の市場規模が大きいことがわかります。
また、BtoBのEC市場規模の推移も見てみると、EC市場規模とEC化率(※)ともに増加傾向にあり、EC市場に参入している企業が年々増えていることも読み取れます。
※EC化率:BtoBの商取引市場規模を分母、BtoBのEC市場規模を分子として算出。分母は財務省発表の法人企業統計調査における業種毎の売上高を使用。
EC市場の推移とインターネット環境が整備・普及している現状を踏まえると、EC市場は今後も拡大していくと予測できるでしょう。
参考:令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)
ECは、EC1.0、EC2.0、EC3.0という変遷があり、2025年現在においてはEC3.0の時代といわれています。
ECの変遷を確認しましょう。
EC1.0は、主に実店舗で購買活動をしていた時代です。
インターネット環境の整備が十分ではなかったEC1.0の時代は、オンラインで買い物をするという認識が浸透していなかったため、必要なものは実店舗で購入し、在庫がない場合に公式ECサイトで購入・配送してもらうということがまだまだ一般的でした。
EC2.0は、ECサイトが実店舗と同じように活用されるようになった時代で、インターネット環境が整備されてきた2010年代から2.0への移行が始まったとされています。
EC2.0は「いつでも、どこでも」買い物ができるようになったのが特徴で、さまざまな業界がECサイトを設けたり、Amazonなどの大型ECサイトが周知されたりして、ECサイトでの購買活動が一般的になりました。
EC3.0は、「何でも、いつでも、どこでも」買える時代のことで、実店舗を介さずに商品の認知から購買意欲の醸成、購入・決済までをインターネット上でできるのが特徴です。
インターネットの普及によって情報収集・商品比較が容易になるに伴い、消費者行動もAIDMA(アイドマ:注意・興味・欲求・記憶・行動)からAISCEAS(アイセアス:注意・興味・検索・比較・検討・行動・共有)に変化しています。
インターネットが消費者の購買行動において重要な役割を担っているため、インターネットやデジタル技術をさらに活用した次世代ECに取り組み、消費者ニーズに応えていく対策を打つことが重要です。
消費者から選ばれるECになるには、取り入れたい重要な技術があります。
次世代ECとしてどのように活用できるのかを解説します。
生成AIとは、テキストや画像、動画、音楽などを新たに創り出す人工知能システムのことです。
生成AIをECに活用すると、消費者の購買履歴からパーソナライズした商品をレコメンドしたり、チャットボットで消費者からの質問に精度高く答えたり、不正な購入を検知したりできるため、消費者の満足度を高められるでしょう。
消費者の自社ECサイトに対する評価が上がれば、リピート率が増えて売上のさらなる向上や、新たな顧客獲得につながる効果も期待できます。
ヘッドレスコマースとは、フロントエンドとバックエンドをAPI連携させることで分離し、フロントエンドの自由な開発・運用を実現できる仕組みのことです。
従来のECサイトは、フロントエンドとバックエンドが一体化しており、フロントエンドを改善しようとするとバックエンドの対応も不可欠なため、消費者ニーズに合ったECサイトへ気軽に改善することが困難でした。
ヘッドレスコマースを取り入れると、UI/UXの効率的な設計ができるようになり、最適な消費者体験の提供につながります。
次世代ECに活用できる手法として、次の5つをご紹介します。
ショールーミングとは、実店舗で商品を確認したうえで、ECサイトで同商品を購入する消費者行動のことです。実物を確認し、失敗リスクを回避しつつより安価で購入することや、直接自宅に届けてもらうことを目的に行われます。
消費者が自社ECサイトで購入するとは限らないため、実店舗で商品の横に自社ECサイトへつながるQRコードを設置したり、ECサイトの利用で貯まったポイントを実店舗でも使えるようにしたりなどの工夫が必要です。
また、商品を見たり触ったりして理解を深められるショールーミングストアの設置も効果的かもしれません。最終的にECサイトへ誘導するショールーミングストアは、会計などがなく顧客対応に注力できるため、消費者体験を向上させられるでしょう。
ライブコマースとは、ライブ配信で消費者とコミュニケーションを取りながら、商品を販売する手法です。
例えば、社員が自社の商品を宣伝したり、インフルエンサーに依頼し、ライブ配信で商品の魅力をアピールしてもらったりすることで、売上につなげます。
ライブ配信には、視聴者とリアルタイムで双方向のコミュニケーションをとれる、質問や要望にその場で応えられる、商品をよく確認できたり動きがあったりして盛り上がりがあるという特徴があります。
消費者の満足度が高まっているなか、商品の購入リンクを伝えることで、スムーズな購入を促せるでしょう。
レンタルコマースとは、契約期間中に商品を貸し出し、期間終了で返却してもらうビジネスのことです。レンタルのスケジュール設定や延長設定など、多様な機能の付加によって、消費者の利便性を高められます。
消費者にとって、レンタルは気になる商品を気軽に試せる機会のため、取り扱う商品によっては需要が高いでしょう。また、商品を気に入った場合、購入してもらえる可能性もあります。
一方で、返却された商品のメンテナンスや次の貸し出しまでの管理などに手間がかかります。購入と異なり、まとまった収益を短期で得られない点にも注意が必要です。
メタバースコマースとは、オンライン上にあるメタバース(仮想空間)で商品を売買することです。消費者はメタバースにアクセスすることで、メタバース内にある店舗を見て回れたり、欲しい商品があればECサイトへのリンクから購入できたりします。
現実世界ではできない、非リアルな体験を提供できれば、消費者の購買意欲を高められるでしょう。
また、メタバースへの出店はリアルな店舗の確保が不要であり、光熱費などもかからないため、コストを削減しながら売り上げを伸ばせる可能性があります。
オン・プラットフォーム・コマースとは、SNS上で購入・決済までできる仕組みのことです。2025年4月時点においてFacebook、Instagram、TikTokが提供しています。
商品の販売にSNSを活用する場合、従来であればSNSで商品を宣伝し、自社ECサイトへ消費者を誘導する必要がありましたが、オン・プラットフォーム・コマースではSNS上ですべて完結するため、消費者にとってシームレスな購買が可能となります。
消費者の利便性が向上する一方で、企業は自社ECサイトへの誘導ができなくなったり、消費者の購買データを得にくくなったりする恐れがあります。
ECへ取り組むには、そもそも次の4つのポイントを意識することが大切です。
各ポイントについて解説します。
自社の商品をより多くの消費者に見てもらえるように、接点を増やしましょう。例えば、自社サイト、SNS、広告などで露出を増やすと、消費者との接点も自然に増えると考えられます。
接点を増やしたら、離脱させない導線を設計することも大切です。自社ECサイトの利用に会員登録が必要な場合は、登録フローを簡素化することで商品を買えるようにすると、消費者にとって手間がなくなりスムーズな購買につながるでしょう。
SNSは消費者との接点となるだけでなく、ブランディング効果もあります。自社の商品の認知を広げるほか、自社そのものを理解してもらえることで、自社のファンを増やせるかもしれません。
自社のファンが増えれば、SNSで発信する情報へより多くの注目が集まったり、拡散してもらえたりして、商品の認知拡大・売上増加につながる可能性があります。
オン・プラットフォーム・コマースを提供しているSNSを活用すれば、消費者の購買活動がシームレスになり満足度も向上するでしょう。
マーケティング用語のひとつに、新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」があります。
新たな販促チャネルを作ると新規顧客に意識が向きやすくなりますが、初期費用や運用費用がかかるため、既存顧客を大切にして、安定した収益を上げることが重要です。
越境ECとは、日本から海外へ向けて、オンライン上で商品を販売することです。海外向けの自社ECサイトの開設や、海外のECモールへの出店を行います。
越境ECに取り組むと、海外の新規顧客獲得によって売上増加を見込めるかもしれません。ブルーオーシャンだった場合、事業の拡大も可能でしょう。
トラブルなく越境ECを行うには、販売対象となる国の法律や規制を把握し、適切に対応することが求められます。
EC市場は増加傾向にあり、今後も需要の高まりとともに規模も拡大していくと考えられます。
EC3.0の時代となった現在において、消費者体験をさらに向上させるECが求められているため、メタバースコマースなどの次世代ECに取り組み、ビジネス拡大を目指していきましょう。
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