株式会社トラバース様(以下、トラバース様)は、測量から地盤改良・擁壁工事までをトータルに手掛け、関東を中心に東海・関西・東北・中国・九州と広域に事業を展開されています。同社は、基幹システムのVMware※1環境の保守期限の到来を機に、クラウド移行を実施されました。アジアクエストはマルチベンダー※2体制のもと、最適な移行プランの選択肢の提示・移行および内製化まで担う伴走型パートナーとして本プロジェクトに参画しました。
※1 VMware:物理サーバ上で複数の仮想マシンを稼働させる代表的な仮想化基盤ソフトウェア。多くの企業がオンプレミス環境の基幹システム基盤として採用してきた。
※2 マルチベンダー:複数のベンダーが役割を分担して1つのシステム/プロジェクトを構築する体制。
トラバース様は、社内VMware上に構築されていた基幹システムにおいて、ライセンス更新時期を迎えたことを機に、運用コストの見直しも含めたインフラ基盤のAWSへの移行を検討されていました。
AWSアドバンストティアサービスパートナーとして豊富なAWS実績のあるアジアクエストへ本プロジェクトの技術支援をご依頼いただき、「3ヶ月の期間でAWSへ移行」「マルチベンダー体制」「業務に影響を及ぼさない確実な切替」といった課題の下に、プロジェクトを開始しました。
【1】インフラ移行手段の選択肢提示 ── サーバ移行は、OS・ミドルバージョン維持要件のもとクローン方式のAWS MGNを提示。DB移行は2プラン提示し、いずれも停止許容時間・データ規模・準備工数を可視化したうえで最適解を合意。
【2】環境差分の網羅的事前精査 ── DBバージョンアップに伴うパラメータ差分・AWS RDS固有制限を本番切替前に洗い出し、影響箇所をお客様と早期共有 → 対応方針合意まで完了。「動かしてみないと分からない」要素を排除しました。
【3】境界論点のクローズドループ確認 ── マルチベンダー間の作業境界(セキュリティグループ設計・AD連携手順・切替日タイムテーブル等)を文書化し、トラバース様経由で双方の担当範囲を相互確認する運用に統一。認識齟齬の発生を防止しました。
並行して、クラウド未経験であるお客様自身の自走(内製化)を見据えたスキルトランスファーを実施し、トラバース様との共創による価値創造の起点を整えました。
5種・計5台の基幹サーバ群(AD/ファイル/アプリケーション/バッチ/DB)のうち、ネットワーク基盤とADサーバ移行を既存ベンダー、その他4種・4台のサーバ移行をアジアクエストが分担し、両社で全体をAWSへ移管しました。
本プロジェクトで使用した主なAWSサービスは以下のとおりです。
※データ移行手法について: DBの移行手段は、停止許容時間・データ規模・準備工数を踏まえて2プランを提示しました。結果として、停止許容時間内に確実に完結する再現性の高さや、当日のオペレーションリスクを最小化できる点を評価し、DBバルクエクスポート/インポート方式※5による一括移行(プラン1)を採用しています。
※3 AWS Application Migration Service(AWS MGN):オンプレ環境を最小ダウンタイムでAWSへ移行するAWSマネージドの移行サービス。ブロックボリュームを継続同期し、切替時にEC2で起動する。
※4 AWS Database Migration Service(AWS DMS):オンプレ → クラウドへのDB継続レプリケーションを実現するAWSマネージドサービス。
※5 DBバルクエクスポート/インポート方式:データベース全件を一括でファイルへ書き出し、移行先で取り込む移行手法。停止時間内に確実に終わらせやすく、大規模データの整合性確保に強い。
短期間での移行と不安の払拭約2.5ヶ月でAWS移行を完遂。最初の1ヶ月で構築・検証を終え、残り1.5ヶ月をリハーサルや事前精査に充てられたことで、本番移行への不安なくプロジェクトを進めることができました。
業務影響を最小限に抑えた本番切替リハーサル時に作成した環境をそのまま本番転用する工夫により、本番切替作業を想定の半分の時間(約4時間)で完了。通常業務への影響を最小限に抑えました。
サーバコストの最適化インフラ環境の刷新により、運用にかかるサーバコストの最適化を実現しました。
ブラックボックス化を防ぐ、安心の移行プロセス
4種・4台のサーバを一括移行。DBバージョンアップに伴う懸念点(パラメータ差分など)も事前に細かく共有・解消された状態で切替日を迎えることができました。
クラウド未経験からの「自走」スタート
詳細なパラメータシートや移行設計書が手元に残ったことで、クラウド未経験の状態から、自社でのAWS運用および内製化の第一歩を踏み出すことができました。
運用・保守サポート ── AWS環境の日常運用・障害対応・パッチ運用を継続支援
AWS最適化フェーズの設計・構築 ── バックアップ/コスト/運用の各設計を順次実装
AI活用相談 ── 専門部署と連携し、業務適用領域の特定からプロトタイピングまでワンストップで支援
トラバース様は移行完了直後より、バックアップ設計・コスト最適化・運用設計を含む「AWS最適化フェーズ」に着手されました。AI活用による業務効率化の検討も同時に進められています。
アジアクエストは、今後もトラバース様の共創パートナーとして引き続き伴走します。
当社にとって基幹システムは事業活動の根幹であり、その移行は大きな決断でした。保守期限とライセンス更新という節目を、単なる更新で終わらせるのではなく、運用コストの最適化と将来に向けた基盤づくりの機会と捉えることができたのは、アジアクエスト様に複数の選択肢とその根拠を丁寧にご提示いただけたからこそだと感じています。
マルチベンダーという難しい体制のなかでも、全体を俯瞰して各社の役割を明確に整理しながら進めていただき、業務を止めることなく約2.5か月という短期間で移行を完遂いただきました。安心して任せられる、信頼できる伴走パートナーを得られたことを大変心強く感じております。
今回の移行は、当社のDXに向けた重要な第一歩です。構築いただいた堅牢な基盤と、内製化を見据えたご支援を土台に、今後はクラウドを活かした業務効率化や新たな事業の展開へとつなげてまいります。引き続き共創パートナーとして、末永くお力添えいただけますと幸いです。
取締役本部長 / 平間 俊文様
長年運用したVMware環境からAWSへの基幹システム移行を、マルチベンダー体制下でわずか2.5か月という短期間で完遂できたことに大きな驚きと感謝を覚えています。
初めてのAWS導入で不安も大きい中、アジアクエスト様には終始寄り添ったサポートをいただきました。WBSや移行手法において常に根拠のしっかりした提案をいただけたことで、複雑な体制下でも迷いなくプロジェクトを推進できました。
今回構築した堅牢な基盤をベースに、今後はクラウドならではの機能を活用し、さらなる業務の拡張やDX推進へ向けて共に歩んでいければと考えております。
システム開発部 部門長 / 中村 泰三様
移行作業にあたり、入念な準備とスピード感のバランスが良く、常に弊社に寄り添いながらプロジェクトを進めていただきました。
また、弊社で実施した基幹システムの検証結果から見つかった課題についても、根拠を示しながら適切に対応いただき、安心して移行作業を進めることができました。
移行初日に一部トラブルは発生したものの、迅速かつ誠実にご対応いただき、その後の改善にも活かしていただいたことで、安定した運用につなげることができました。
プロジェクトを通じて伴走いただき、大変感謝しております。
AWS移行後も安定して稼働しており、今後の運用・拡張に向けた基盤づくりにつながったと感じています。
システム開発本部 課長 / 小笠原 努 様