── 国内初のM&Aのパートナーとして、なぜテトラ・コミュニケーションズだったのでしょうか。
当社はこれまで、建設、製造、小売を中心に幅広い業種のDXを手がけ、着実に実績を積み上げてきました。財務・金融サービス領域も、もともと当社の事業ドメインの一つです。
テトラ・コミュニケーションズは、生命保険業界に圧倒的な強みを持つSIerです。金融業の中でも、生命保険会社の基幹システムは制度・商品性・業務プロセスが極めて複雑で、外部のベンダーが本当の意味で「上流」に入り込むのはとても難しい。長年にわたる信頼の蓄積がなければ、踏み込めない領域です。当社でもこの業界において、このレベルには届いていませんでした。
テトラ・コミュニケーションズが2008年の創業以来、着実に積み重ねてきた専門性と、当社が培ってきたAI・クラウドの技術力。この二つを掛け合わせることで、両社だけでは踏み込めなかった新しい価値を、お客様に届けられる。そう確信できたことが、今回のパートナーシップの決め手になりました。
── なるほど。では、自社の力でじっくり築くのではなく、なぜM&Aという手段を選んだのでしょうか。
スピードです。先ほど申し上げた通り、生命保険会社の基幹システムの領域で、お客様から上流を任せていただけるだけの信頼をゼロから積み上げるには、何年もの歳月がかかります。テトラ・コミュニケーションズは、業務課題の整理から要件定義、システム化方針の策定まで、まさに「上流」からお客様の課題に入り込んできた会社です。これは一朝一夕で築ける関係性ではありません。
テトラ・コミュニケーションズが長年培ってきた知見や顧客との信頼関係と、当社の強みを掛け合わせることで、オーガニックな成長だけでは実現できないスピードで金融・保険業界における当社のポジションを引き上げていく。これが今回の決断です。
── 事業面でのシナジーについて、具体的にどこを見ていますか。
焦点は、AIX(AI Transformation)の領域です。テトラ・コミュニケーションズは、生命保険会社の基幹システムの開発・運用を長年手がけてきており、その現場では今、レガシーシステムのモダナイゼーションに対する大きなニーズが顕在化しています。
当社は、クラウド基盤やWebシステムへのAI実装、AI駆動開発といった技術力を磨き続けてきました。テトラ・コミュニケーションズが持つ生命保険業務への深い知見と、当社の技術力を掛け合わせれば、基幹システムのモダナイゼーションという大きなテーマに対して、より付加価値の高い提案ができるようになる。この領域の伸びしろは極めて大きく、本件は中期的に当社の成長を牽引する重要な事業基盤になると考えています。同時に、当社が持つAI・クラウドの技術力やエンジニアリング基盤は、テトラ・コミュニケーションズにとっても、生命保険業界という専門領域を超えて事業を広げていくための大きな武器になるはずです。両社の強みを掛け合わせることで、これまで単独では踏み込めなかった新しい市場を、共に切り拓いていく。それが、このM&Aの本当の意味だと考えています。
── 企業文化の面ではいかがでしょうか。M&Aでは事業シナジーだけでなく、カルチャーの相性も問われます。
まさにその通りで、今回は事業シナジーに劣らず、カルチャーの面でも強い手応えを感じています。テトラ・コミュニケーションズは、役職や年次に関わらずフラットに意見を言い合える風通しの良さと、一人ひとりが現場で自ら学び、考え、動く自律性を大切にしてきた会社です。実際に社員の皆さんと接する中でも、高い一体感や組織への愛着を感じることができ、アジアクエストとの親和性を非常に強く感じています。
M&Aでは事業上のシナジーばかりに目が向きがちですが、働く人たちが同じ価値観を大切にしているかどうかは、それと同じくらい重要です。その意味で、今回の案件には強い自信を持っています。
── 最後に、株主・投資家の皆さまへメッセージをお願いします。
今回のテトラ・コミュニケーションズとの経営統合は、アジアクエストにとって国内初となるM&Aです。これまで自社の力でオーガニックに成長を積み重ねてきた当社が、ここからはM&Aという新たな成長手段を加え、成長のスピードをもう一段引き上げていきます。
金融・保険業界における専門性の深化、そしてAIXという伸びしろの大きい領域への展開。この二つを掛け合わせ、当社は次のステージへ駆け上がっていきます。引き続き、アジアクエストの挑戦にご期待ください。